2017 Fiscal Year Research-status Report
Tailoring the dierectric-SiC Interface using a new oxidation procedure with precursors and its application to MOSFETs
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17K14653
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 大 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50612181)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シリコンカーバイド / パワーデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
SiO2/SiC界面欠陥の低減は、パワーデバイス応用上極めて重要な技術開発課題であるとともに、学術的に興味深い研究対象である。本提案においては、SiO2/SiC界面欠陥をさらに低減するため、堆積法により形成したパッシベーション元素を含んだ前駆体層を熱酸化する手法を提案し、その効果を調査することを目的として研究を推進している。初年度である平成29年度においては、研究の立ち上げと、SiO2中の異原子濃度分布に関する基礎データの収集を主に行い、以下の成果を得た。まず、堆積法によりパッシベーション元素を含んだ前駆体の組成比、および膜厚を精密に制御できる技術を確立した。その前駆体層を熱酸化するための拡散炉などの実験設備を構築し、パッシベーション元素を含んだSiO2膜を形成する実験を行った。SIMS測定により、パッシベーション元素がSiO2中にどのように分布しているかを調査し、熱力学的な考察および酸化温度の調整によって、SiO2/SiC界面近傍の狭い領域にパッシベーション元素が局所化する条件を見出した。このようにSiO2/SiC界面に局在化した異原子分布を用いた素子においては、界面準位の低減と信頼性の確保の両立が実現できる可能性がある。そこでMOSキャパシタの作製を数回試みた。しかし、十分界面準位密度を低減できたMOSキャパシタを作製するには至らなかった。その原因として異原子層が十分に酸化されていないことを推測しており、それを特定する実験を行う必要がある。本手法の効果を発現するためには、これらの知見を基に更なる酸化条件の最適化が必要と考えており、継続した研究が必要と考えている。平成30年度においては、他機関の試作設備を積極的に利用させていただくこと等により、MOS界面特性改善に向けたプロセス開発をさらに強力に推進していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のうち、初年度の目標であったSiO2中異原子層の界面局在化に関しては、条件を見出すことができた。一方、本手法を用いて作製したMOSキャパシタの特性を調べたところ、当初想定していた界面準位密度の大幅な低減効果は確認できなかった。条件の最適化が十分にできていない可能性があり、さらに実験を進める必要があると考えている。研究計画で想定していた段階に達しなかったことから、やや遅れている状況であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画のうち、初年度に完遂に至らなかったMOSキャパシタの試作、および界面準位低減効果の確認についての実験を引き続き行う。これまでの酸化条件は1000℃以下の比較的低温で行っていたため、界面付近の不純物原子が完全に酸化されていないことが懸念されるため、まずはXPS測定を行い、界面の結合状態を把握する。その結果を基にして、熱力学的な考察を行いつつ、高温への条件拡張や酸化時間の長時間化などを実施するなど、研究を加速して実施する。界面欠陥密度の低減効果が確認されれば、当初計画していた通りMOSFETへの展開を行っていく。十分な界面準位低減効果が見られない場合は、類似手法を用いた手法への計画変更を検討する。
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Causes of Carryover |
未使用額が発生した理由は、研究の進捗状況に合わせ、予算執行計画を変更したためである。平成29年度は、主にデバイス作製に必要な蒸着用メタルマスクなどの消耗品を揃えることと、本学で行うことが困難であるSIMSの外注などに使用した。一方で、本研究遂行に必要なデバイス作製設備は高額であり、予算規模に合わせて一部他大学の装置借りて実験を行うなど計画を変更した。これにより物品費の節約ができたため未使用額が生じた。来年度はこの未使用額を用いてデバイス試作回数と物理分析の回数を増やすことで、研究を加速して推進していく。
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