2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14667
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
古田 潤 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (30735767)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ソフトエラー / フリップフロップ / 重イオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では集積回路の信頼性を向上させる回路構造・設計方法の検討を行う。信頼性を低下させる原因は放射線によって生じる集積回路のデータ反転、ソフトエラーである。フリップフロップなどの集積回路における記憶素子によって保持されるデータが反転すると、集積回路の出力結果が正しくなくなる場合や、動作自体が停止する場合がある。そのため、ソフトエラーに強靭な回路構成が必要とされている。 本研究では組み合わせ回路による値の伝搬遅延に着目し、伝搬遅延の大きさに合わせたソフトエラー対策方法を検討する。伝搬遅延が大きい場合ではフリップフロップでソフトエラーによる反転が生じても、遅延により次段のフリップフロップにエラーが伝搬しにくい特性を利用し、遅延時間が大きい場合ではフリップフロップの一部にエラー耐性を持たせなくても、高いソフトエラー耐性を保てることを重イオンビーム照射実験によって確認した。そして遅延時間の大きさに合わせて適切なソフトエラー対策方法の提案を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度試作した検証用集積回路に、重イオンビームを照射することで組み合わせ回路における伝搬遅延によるエラーの除去効果を評価した。具体的な評価回路はクロック周期を変更可能にしたシフトレジスタである。 ロック周期を変更することでクロック周期に対する組み合わせ回路の遅延時間の割合を変更し、エラーの除去効果の強弱を変更している。 測定結果よりクロック周期を約2usと短くし、組み合わせ回路の遅延時間が相対的に大きい場合ではソフトエラー率が1/4程度まで減少することを確認した。この組み合わせ回路の遅延による除去効果は照射した重イオンのLET (linear energy transfer)に依存せず、同一の結果となった。 上記の研究結果は3月末に開催された半導体に関する国際会議であるIRPS (IEEE International Reliability Physics Symposium)にて発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度には周波数を細かく変更することが可能な回路を設計し、ソフトエラー率と組み合わせ回路遅延との関係を精査する。今までの測定結果では高周波数動作時にソフトエラーの減少が確認できたものの、想定よりも減少量が小さく、動作周波数の向上によって発生率が上昇するSET(Single Event Transient)によるソフトエラーが増加していることが考えられる。このSETによるソフトエラーと、フリップフロップ内で直接発生し、ソフトエラーとなるSEU(Single Event Upset)を分離しながら測定可能な回路構造を設計する。 上記の設計と並行してTCADシミュレーションを用いたソフトエラー特性の評価を行う。特に事前に行っていたシミュレーション結果と異なる結果となった高周波数動作時のソフトエラー率を再見積もりし、実測と一致するように3Dモデルの修正・再構成を行う。
|
Research Products
(3 results)