2019 Fiscal Year Research-status Report
InAs系複合構造を用いた室温動作テラヘルツ波検出器の開発
Project/Area Number |
17K14673
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
小山 政俊 大阪工業大学, 工学部, 講師 (30758636)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 微細構造デバイス / 非線形電子輸送 / InAs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、半導体ヘテロ構造の中でも非常に高い電子移動度を有するInAs/AlGaSbヘテロ構造を用いてボウタイダイオード構造を作製し、高検出感度、広い動作周波数、速い応答速度のゼロバイアス・室温動作テラヘルツ波検出器の実現を目指している。今年度は昨年度に作製した低コストの高品質なInAs単層薄膜にボウタイダイオードを形成するためにプロセス条件を検討し、さらにボウタイダイオードを作製してその電気的特性の評価を行った。その結果、直流電圧に対する電流は電圧を印加する極性によって非対称な電流電圧特性を示し、非対称なボウタイ構造に起因したキャリア輸送によるものと考えられる。ゼロバイアスで2乗検波方式によってテラヘルツ波を検出するために重要であるゼロバイアス近傍での電流電圧特性の曲率を得られた結果から算出すると薄膜の膜厚に強く依存し、InAs薄膜の厚さが500 nmよりも薄い場合には比較のために作製したGaAs/AlGaAsヘテロ構造に加工した同じサイズのボウタイダイオードよりも大きな曲率が得られた。このInAs単層薄膜は、800 nmの波長の超短光レーザーパルスを照射することで高強度のテラヘルツ波を放射することをこれまでに報告しており、放射に用いるInAs単層薄膜を検出器としても用いることができる可能性を示す結果を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、2019年8月から2020年3月の期間において代表研究者の海外長期研修によって7ヶ月間にわたって研究中断を余儀なくされたため、当初の想定通りに研究を進めることができなかった。そのため、昨年度に結晶成長を検討したInAs単層薄膜でのボウタイダイオードの試作および電気的特性の評価は進めることができたが、InAs/AlGaSbヘテロ構造の漏れ電流抑制構造の結晶成長とその物性評価は着手できていないため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに着手できていない高電子移動度を有するInAs/AlGaSbヘテロ構造の漏れ電流抑制構造の結晶成長と物性評価を行う。また、漏れ電流抑制を施したInAs/AlGaSbヘテロ構造を用いたボウタイダイオードを作製し非線形電流電圧特性の評価を行う。今年度に試作と評価を行ったInAs単層薄膜ボウタイダイオードのメサ構造の形状と非線形性の強さの関係を現在調査しており、その結果をInAs/AlGaSbボウタイメサダイオードにフィードバックしてゼロバイアスでの電流電圧特性の曲率の大きなダイオードを試作し、それらにテラヘルツ波を照射した際の検出特性について評価を行う。
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Causes of Carryover |
2019年8月から2020年3月の期間において代表研究者の海外長期研修によって当初の想定通りに研究を進めることができなかったため。
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