2017 Fiscal Year Research-status Report
伝送線路の表皮効果損失の抑制理論の検証および最適設計方法の確立
Project/Area Number |
17K14674
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
中山 英俊 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 准教授 (10390452)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 表皮効果 / 高周波伝送線路 / 損失 / 負の透磁率材料 / 複素透磁率 / 抵抗率 / Cu導体 / NiFe磁性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、伝送線路の表皮効果損失を抑制するため、負の透磁率特性を用いて伝送線路内の電流密度分布(大きさ・位相)を改善するための理論を確立することである。加えて、産業課題である導体の表面粗化(凹凸状態)の影響への対策を検証し、次世代通信周波数(5G)への本技術の実用化のための基礎的検討を行うことである。 研究実施計画では、従来研究で確立した円形伝送線路理論を拡充することと、矩形伝送線路への展開を図るため、確立する理論式とシミュレータとの比較検証を行うこと、および、伝送線路の試作による原理検証を行うこととした。 平成29年度は次のことを実施することができた。円形伝送線路理論では、従来考慮していなかった複素透磁率の虚部(磁性材料損失)の影響を加味できるように改善した。矩形伝送線路理論では、幅方向に無限大の線路を仮定した近似式を確立した。一方で、伝送線路の試作実験については、Cu導体(正の透磁率材料)およびNiFe磁性体(負の透磁率材料)を用いて、めっき製膜により積層し、伝送線路の試作を実施することができ、特性評価を行うことができた。同実験結果により、Cu導体のみの伝送線路と比較して、負の透磁率材料を用いた積層伝送線路は、約5%の損失低減効果が得られた。 研究実績として、国際会議1件の研究発表がアクセプトされた。同発表に基づき、論文投稿1件を進めている。また、特許事案1件があり、出願手続きを進めている。その他、国内学会等での研究発表9件を実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、平成30年度に計画していた「伝送線路の試作・特性評価」を平成29年度に前倒して実施することができた。新たな研究パートナーの協力を得ることができたことにより、試作実験が前進した。ただし、試作した伝送線路の伝送特性と理論計算の結果の比較において、一部一致しない部分も明らかとなり、試作による実験結果に基づいて、その検証を進めている。 理論計算については、円形伝送線路理論は、複素透磁率の虚部(磁性材料損失)の影響を加味するように改善できた。矩形伝送線路理論は、幅方向に無限大の線路を仮定した近似式を確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究実施計画である「表面粗化の影響検証」について、予定通り着手する。 前年度に試作して測定することができた伝送線路の実験結果に基づき、本研究の電磁界理論および電磁界シミュレーションを相互比較することにより、「設計理論の確立」を進める。 以上を総合することにより、産業課題である導体の表面粗化(凹凸状態)の影響への対策を検証し、次世代通信周波数(5G)への本技術の実用化のための基礎的検討を行う。
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Causes of Carryover |
特に、予定していた物品費に対して使用額が少なかった理由については、試作実験のための予備実験において、新たな研究パートナーとの連携により予備実験経費が予定よりも掛からずに実施することができたためである。また、研究成果発表用の旅費については、一部を他の研究経費で充当することができ、予定額を下回ったためである。 次年度は、得られた成果を国際会議で発表するための旅費・その他経費や、研究活動を更に推進するための経費として使用を計画する。
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