2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of phase shifter with ferroelectric thin film for adaptive device in microwave or millimeter wave band
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17K14677
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
島 宏美 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 講師 (10610967)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロ波・ミリ波 / 強誘電体薄膜 / 移相器 / 材料定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マイクロ波・ミリ波帯におけるアダプティブデバイスの開発を目指し、液晶装荷移相器の液晶層を強誘電体薄膜に置き換えた強誘電体薄膜移相器の開発を行うものである。今年度に行った研究は以下の通りである。 強誘電体薄膜材料として ペロブスカイト(ABO3)構造を有するチタン酸バリウムのBサイトにジルコニウムを置換したチタン酸ジルコン酸バリウム(BZT)を選択した。薄膜の組成比や、成膜条件を確立するため、成膜方法として化学溶液堆積法を選択した。化学溶液堆積法により組成比及び結晶化温度の異なるBZT膜を作製した。前駆体溶液の熱分析の結果より、成膜時の熱分解温度を2段階に設定し、有機物の残存量が少ない良質な膜を得ることに成功した。結晶化温度依存性の観点からは、構造解析や膜質、誘電特性の結果から、より高い結晶化温度で熱処理することで結晶粒の成長が促され、高い比誘電率およびチューナビリティ特性が得られることを確認した。ジルコニウム組成比依存性の観点からは、ジルコニウム置換量が0.1~0.2重量パーセント付近で比誘電率のチューナビリティ特性が最大となることを確認した。 また、マイクロ波・ミリ波領域での材料定数の評価手法として、誘電体レンズを利用した自由空間タイムドメイン法によるSパラメータの測定方法について検討を行い、標準サンプルである石英基板、及びサファイア基板における比誘電率が文献値と概ね一致することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は強誘電体チタン酸ジルコン酸バリウム薄膜の作製、MSL構造・CPW構造移相器の試作など素子の作製を中心に行った。 薄膜作製は化学溶液堆積法により行い、成膜条件の最適化を行った。 また、材料定数の評価については、誘電率の評価については75-110GHzの高周波帯領域で、電圧印加に伴う誘電率の評価については数百MHz帯における周波数帯域においての評価技術を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
高周波特性の評価を中心に行う。高周波特性の結果にあわせて、素子設計、薄膜の作製条件の再検討を互いにフィードバックしながら研究を行う。 さらに、強誘電体薄膜移相器を用いたリニアアレイアンテナの動作解析を電磁界シミュレータにより行い、アダプティブデバイスの形にした際のビームチルト角などを求め実用化の検討を行う。
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Causes of Carryover |
最も大きな理由は、導入を予定していた設備備品費である高周波測定プローブ用マイクロポジショナーが予定していた価格より安価であったことによる。また、一部機材が別予算で購入した機材で転用できる可能性があった為、助成金の効率的運用を図る為、転用による実装を試験している。海外旅費の繰越も1つの理由として挙げられる。研究成果を発表する場として計画していた国際会議が本年度は6月と早い時期の開催であった為、翌年度に開催される次回の会議を成果発表の場とする事にした。その為、渡航費用及び会議参加費用の未使用分が発生し、それを次年度へと繰り越すこととなった。
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Research Products
(4 results)