2018 Fiscal Year Research-status Report
無線分散ネットワークにおける結合振動子活用型チャネル選択に関する研究
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17K14686
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
稲毛 契 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 助教 (80759506)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 無線分散ネットワーク / チャネル選択手法 / 非線形振動子 / 引き込み現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、周期的にビーコン信号を送信する無線機に非線形振動子を搭載し、その振動子の発振パルスと同期してビーコン送信タイミングを決定する。他端末から送信されたビーコンを受信した端末は引き込み関数に基づいて自身の振動子の位相(角速度)を変更する。この引き込み現象に基づいて干渉関係にある端末間で振動子の位相差を発生させることで、チャネル選択に使用できる指標の自律的に生成する方法について検討を行った。 課題1.無線チャネル結合型非線形振動子の引込効果による隣接 AP 間非同相同期の実現:初年度に検討した引き込み関数について安定化の検討を行った。無線チャネルを介したビーコン結合では無線チャネル変動によって、干渉関係にない端末からも希にビーコン受信をしてしまうことがあり、位相安定化に悪影響を及ぼしていた。その影響を事前情報なしに低減する方法について検討を行い、チャネル変動に対してロバストな引き込み強度を持たせることに成功した。 課題2.複数 AP 間における相互結合・引込現象を利用した利用チャネル分散の実現:初年度の検討においても80パーセント以上で19個の端末が安定位相に収束することを確認していたが、その性能向上を課題1の成果と組み合わせることで95パーセント以上とより高い確率で安定化させることに成功した。また分散環境では各端末の位相差を発生させることが出来ていたが、共通の位相基準を持たないために一度全端末の位相情報を集約しなければチャネル選択ができないという問題があった。その問題解決のために全端末同期するための2個目の振動子を追加し、非同相同期の振動子と緩やかな結合を持たせることで分散環境でオーバヘッドを増加させることなく基準位相を持たせることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた理想的な分散環境において自律分散的にチャネル選択をすることができる指標として位相を生成させることに成功している。この理想的な環境では端末間の電波伝搬が同率同一分布に従う環境であり、2年目の検討事項は達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の机上検討を拡張し、より現実的な無線チャネル環境においての検討を行う。端末の疎密や不規則配置を導入し、また測定機から得た実測のチャネル情報に基づくエミュレートを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に購入を計画していた高性能PCを次年度に見送ったためである。また当初の想定よりも購入価格を下げることが可能になり、その差額についてはMATLABと連携可能な測定機を購入し実測データを速やかにシミュレーションへ反映させる予定である。
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