2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of magnetization dynamics of magnetic nanoparticles for development of magnetic particle imaging
Project/Area Number |
17K14693
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大多 哲史 静岡大学, 工学部, 助教 (30774749)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 磁気緩和 / 磁気粒子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気粒子イメージング(Magnetic particle imaging: MPI)とは、体内における磁性ナノ粒子のモニタリングを可能とするため、次世代の画像診断技術として期待されている。例えば、がん細胞に特異的に結合する抗体を磁性ナノ粒子に修飾して体内に注射し、がん患部のみに磁性ナノ粒子が集積させることで、MPIにより効果的にがん診断を実現可能である。 MPIにおいて、磁性ナノ粒子に磁場を印加した際に生じる磁気信号、特に高調波信号の強度が重要となる。本研究では、高調波信号強度の向上を目指した粒径等の粒子パラメータを設計するために、磁性ナノ粒子の磁気緩和機構の解明を目的とした。以下に2019年度に実施した研究及び得られた成果を示したが、基礎的な磁気緩和機構の実験的観測と、MPIにおけるの新規信号解析手法の提案に成功した。 (1) 磁気緩和には、磁化そのものの緩和機構であるネール緩和と、粒子自体の物理的回転に由来するブラウン緩和が存在し、二つの緩和機構が並行に生じていることが知られている。従来は交流磁場を印加して、磁場の周波数を変化させる際の磁気特性を計測していた。対して研究代表者は、パルス磁場を印加し、磁化の過渡的な応答に注目した。液中に分散した粒子においてネール緩和が生じた後に、ブラウン緩和が生じるという二段階の緩和機構を実験的に観測した。本研究では、特に立ち上がり時間が18 nsという高速応答に対応したパルス磁場の印加に成功したため、緩和時間が非常に短いネール緩和の明瞭な観測を達成した。 (2) MPIでは、従来は主に奇数高調波成分を観測するが、偶数高調波成分と奇数高調波成分を組み合わせて解析することで、奇数波成分のみを観測した場合に比べて、解像度の向上に成功した。
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