2019 Fiscal Year Research-status Report
有界伝送ノイズに対するフィードバック制御系の耐性強化
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17K14702
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
新銀 秀徳 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (60535243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ノイズ抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
有界な入力外乱を受ける一入力の線形離散時間システムに対して、パラメータ化されたすべての静的な二次安定化制御器の中で、あるクラスの制御器に対してパラメータ選択の指標となる達成可能な外乱抑制性能を記述した。性能は実数の関数として表わされているため、パラメータと性能の間の関係を容易に把握することができる。制御性能は出力の大きさの最悪値として評価し、リアプノフ方程式の解を利用して表現した。また、前年度に性能解析を行った反復学習制御の枠組みを導入した観測ノイズの下での軌道追従制御についても研究を進め、学習則の構築を行った。観測ノイズに対する耐性を高めるためには、入力信号の更新過程において観測信号から得られる情報を逐次的に入力更新に反映させるフィードバックの役割が重要になる。そこで、一周期前との挙動の差に応じて制御量を補正する遅延フィードバック制御則を取り込んで制御性能の改善を行った。遅延フィードバックはカオス制御の手法の一つであり、周期軌道の安定化に用いられる。フィードバックゲインは、システムのパラメータの推定結果に基づき、追従誤差が小さくなるように設定する。構築した学習則に対しては、数値シミュレーションを通して性能の検証を行った。その結果、学習過程で徐々に明らかになるパラメータの情報を反映することにより、先見情報の乏しいノイズの影響下でも学習過程における良好な過渡特性を実現できることが分かった。特に、学習過程で見られる一時的な追従誤差の増大を抑制する効果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制御器のパラメータ化に基づく制御性能の記述により、外乱抑制に有効な制御器を得るためのパラメータ選択の指針が示された。また、反復学習において問題になる観測ノイズによる性能劣化について、遅延フィードバックを用いて適切なゲイン選択により抑制できることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
制御性能を陽に記述できる制御器のクラスを広げるとともに、性能を最適化するためのより効率的な手法を開発する予定である。また、反復学習に有効な遅延フィードバックゲインと性能改善効果の関係性を明確なものにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由)既存の計算機環境と無償のソフトウェアを有効活用したことで物品費に残額が生じた。
(計画)研究協力者を増員するとともに、計算機を増強して制御系設計を行い、理論の有効性を検証する予定である。
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Research Products
(2 results)