2017 Fiscal Year Research-status Report
高速濃度変更可能な小型ガス中微量水分発生装置の開発
Project/Area Number |
17K14706
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
天野 みなみ 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (80586321)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーミエーションチューブ / 湿度発生 / 調湿 / 微量水分 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガス中に含まれる水分の物質量分率がppb~ppmという極めて低い湿度のことを「微量水分」と呼ぶ。微量水分は微細な製品の性能や物質の表面状態に良くも悪くも様々な影響を与えることが知られているため、研究・開発の現場では、水分濃度を適切な値に制御・管理することが重要である。しかし、微量水分レベルの湿度制御を簡易に行うことのできる装置はなく、目的とする湿度環境を整備するのが難しいのが現状である。 本研究では、100 ppb~100 ppmの間で任意の濃度の水分を含むガスを「素早く」「安定的に」発生できる、「ポータブルサイズ」の湿度発生装置の開発を行う。開発した装置を現場に持ち込み、必要とされる湿度環境を実現することで、製品の生産効率のさらなる向上や表面科学分野の発展に貢献する。 本湿度発生装置では、水で満たした発生槽内に空のパーミエーションチューブを入れ、壁面を通ってチューブ内に透過してきた水蒸気を乾燥ガスと混合させることで、ガス中水分を発生させる。乾燥ガスはチューブの下部から上部に向かって流れるようになっており、上下方向に水分濃度勾配ができていると考えられる。この流れのうち一部が「加湿ガス採取用配管」に採取される。採取されたガスはさらに目的の水分濃度まで希釈される。 今年度は、パーミエーションチューブに用いる高分子材料の検討、様々な材質のチューブの水分透過速度の評価、および発生槽の設計、希釈用乾燥ガス流量の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パーミエーションチューブを用いた新規湿度発生装置の開発に着手した。まず、様々な素材のパーミエーションチューブを準備し、磁気吊下天秤およびキャビティリングダウン分光法に基づく微量水分計を用いて、水分透過速度を測定した。また、水分発生槽の開発については業者選定・打ち合わせを経て、現在設計を進めている。 当初の予定では、2017年度に適当な水分透過速度が得られる素材3種類選定し、それらを繋ぎ合わせた1本のチューブを作製する予定であったが、入手可能なチューブの素材・厚さ・径に制限があること、形状の不均一性により磁気吊下天秤に安定的に吊り下げるのが難しいこと等が分かってきた。また、実際に水分透過速度を測定してみたところ、パーミエーションチューブメーカーが参照値としてつけている値と大きく異なっていることも明らかとなった。パーミエーションチューブの水分透過速度は、発生湿度の正確性や安定性に関わる本研究の重要なポイントであるので、2018年度に継続して検討を進めていくこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、水分透過速度の異なる3種類の高分子材料を組み合わせた1本のチューブを作製し、水分透過速度とその安定性・再現性・温度依存性などを、磁気吊下天秤・分光方式の水分計を用いて評価する。また、水分発生槽を開発し、作製したパーミエーションチューブを内部に設置して実際に水分発生を行う。目標水分濃度を得るために必要な可湿ガス採取用配管位置の検討、発生槽温度・希釈用乾燥ガス流量の検討を行い、ペルチェ式温調装置、マスフローコントローラ等の選定・導入を行う。
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Causes of Carryover |
当初はパーミエーションチューブの作製と発生槽の開発までを2017年度中に行う予定であったが、入手可能なチューブの素材・厚さ・径に制限があること、形状の不均一性により磁気吊下天秤に安定的に吊り下げるのが難しいこと等が分かったため、チューブの材質について、2018年度にさらなる検討を行うことが必要となった。これに伴い、チューブを収納するための発生槽についても、設計は概ね終了しているが実際の開発は2018年度に行うこととした。 2018年度は、上記研究に加え、目的とする水分濃度を得るために必要な発生槽温度・希釈用乾燥ガス流量の検討を行い、ペルチェ式温調装置、マスフローコントローラ等の選定・導入を行う。発生させた加湿ガスを採取するための配管は上下方向に可変となっており、位置を変えることで採取されるガス中水分濃度が素早く変化する。目標水分濃度を得るために必要な配管位置の設計も行う。開発した水分発生槽について、国内外の学会で成果を発表するとともに、調湿装置を必要とする市場の動向調査も行っていく。
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