2017 Fiscal Year Research-status Report
急速ひずみ電極試験法を用いた鉄筋腐食メカニズムの解明と新加速試験への応用
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17K14711
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
土井 康太郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 若手国際研究センター, ICYS研究員 (80772889)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腐食 / コンクリート / 鉄筋 / 腐食加速試験 / 急速ひずみ電極試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート中の鉄筋腐食の要因として、塩化物イオンや二酸化炭素などの化学的要因が一般的に挙げられるが、車両の走行などによる力学的要因も腐食に影響を及ぼすと考えられる。本研究では、力学的要因による不働態皮膜が腐食の起点になるのではないかと考え、力学的要因により発生した腐食を急速ひずみ電極試験法を用いて検討している。 今年度は腐食の発生を誘起する力学的要因の検討を、コンクリート模擬溶液を用いた急速ひずみ電極試験法により行った。 急速ひずみ電極試験法では、電気化学セル内に設置した引張試験片にひずみを付与し、不働態皮膜が破壊された際の電気化学反応を電流変化として測定する。本年度は、試験片にSD345鋼を用い、塩化物イオンを含まないコンクリート模擬溶液内での電気化学応答を検討した。その結果、SD345鋼では塑性変形域でのみ電流の増加が検出された。このことから、SD345鋼上の不働態皮膜は弾性域では破壊されないことが示唆された。また、ひずみ付与終了後ただちに電流は減衰しひずみ付与前の値に戻った。このことは、塩化物イオンを含まないコンクリート中では、力学的要因により不働態皮膜が破壊されても直ちに自己再生(再不働態化)できることを示している。 次年度は、塩化物イオンを含んだ模擬溶液中での再不働態化挙動の検討を行う。また、模擬溶液のみならず、モルタルに埋設した試験片を用いて急速ひずみ電極試験を行い、より実環境に近づけた評価を行う。 並行して、ひずみ付与を腐食の起点とした新たな腐食加速試験法開発のため、腐食の進展を加速する高酸素腐食促進試験(試料に加圧酸素ガスを供給することで酸素還元反応を促進し、腐食反応全体を底上げする手法)の検討を行った。それにより、モルタル中に埋設した鉄試料を加速率30倍で腐食促進させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は急速ひずみ電極試験をコンクリート中鉄筋腐食の研究に導入し、ひずみが付与された際の溶解反応と酸化皮膜の再生を電気化学的に検出することに成功し、鉄筋表面の不働態皮膜の力学特性を考察することができたため。 一方で、コンクリート中の塩化物イオンがひずみ付与時の溶解挙動や再不働態化に及ぼす影響に関してや、モルタルを用いた検討は行えていないため、平成30年度に検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は上記の通り、コンクリート中の塩化物イオンがひずみ付与時の溶解挙動や再不働態化に及ぼす影響の検討およびモルタルを用いた急速ひずみ電極試験の実施を行う。 並行して、ひずみ付与を腐食の起点とした新たな腐食加速試験法開発のため、ひずみ付与を行った後の試料を我々が開発した高酸素腐食促進試験に供し、腐食加速率の検討を行う。
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Research Products
(8 results)