2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14715
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 理佐 京都大学, 工学研究科, 助教 (90772343)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 疲労限 / ピーニング処理 / 残留応力 / 応力拡大係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ピーニング処理工法によるき裂発生防止効果の予測手法を,残留応力を考慮した応力拡大係数に基づいて確立することを最終目標としている. 2017年度では,き裂を二次元として扱えるT字継ぎ手に対して,引張試験,曲げ試験を応力比を変えて実施し,それぞれの疲労限を特定した.応力比が高くなるほど,疲労限が低下する結果となり,これは既往の研究成果と一致した. 本研究では,残留応力に起因する応力拡大係数と荷重に起因する応力拡大係数を加算したパラメータによって,疲労限を予測する.残留応力に起因する応力拡大係数は,試験体の残留応力の測定値により算出し,荷重に起因する応力拡大係数は有限要素解析により算出した.初期き裂の深さは0.1mmと設定し,止端半径は1mmとした.試験体の残留応力の測定値は,試験体表面の値であるが,深さ0.1mm程度であれば,試験体表面と残留応力の大きさが大きく変化しないと示されているため,本研究では,試験体表面の残留応力が深さ0.1mmまで分布していると仮定した. 上記のプロセスで算出したパラメータによって,疲労試験で得られた疲労限を評価した結果,載荷条件や応力比によらず,統一的な指標でピーニング処理時の疲労限を予測することができた.このように,2次元き裂として扱うことの出来るT字継ぎ手に関しては,異なる荷重条件でも統一的に疲労限を評価できる可能性が示唆されたため,来年度では3次元き裂として扱う必要のある面外ガセット継ぎ手を対象に,同様の手法で疲労限を評価することができるかを明らかにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,2次元き裂として扱えるT字継ぎ手に対して,疲労限の予測手法を提案することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,3次元き裂として扱う必要のある面外ガセット継ぎ手を対象に,2次元き裂と同様の手法で,疲労限の評価を行う予定である.
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Causes of Carryover |
2017年度は,研究の打合せなどをスカイプ会議によって代行できたため旅費が当初予定と比較し抑えられたために,次年度使用額が生じた.次年度使用額として生じた20万円は,面外ガセット溶接継ぎ手の残留応力計測費用(計測点1点2万×20点)に使用する予定である.
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