2017 Fiscal Year Research-status Report
Identification of cause of fatigue damages in steel bridges using MEMS sensor
Project/Area Number |
17K14717
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
関屋 英彦 東京都市大学, 付置研究所, 講師 (60743309)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 橋梁モニタリング / MEMSセンサ / 変位計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
橋梁は,私達の経済社会活動を支える重要なインフラ構造物であるが,供用年数が長くなるにつれ,様々な損傷が生じ始めている.特に,鋼橋に生じる疲労損傷は,落橋につながる危険性があることから,疲労損傷に対する適切な維持管理技術の確立が急務である.疲労損傷に対する適切な維持管理,特に疲労損傷に対する補修,補強を行う上で,疲労損傷の発生メカニズムを同定することは重要である. そこで本研究では,MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたMEMSセンサを活用することによって,橋梁の変形挙動の計測を実施し,疲労損傷の発生メカニズムの同定を行うことを目的とし,研究に取り組んだ.本年度は,MEMSセンサによって,車両荷重に対する複数箇所の変位計測を実施し,その計測精度や同期精度の検証を実施した. 計測精度に関しては,橋梁の支間中央部における重力方向の変位計測と,橋梁の支承部における橋軸方向の変位計測をMEMSセンサを用いて実施し,重力方向でない橋軸方向においてもMEMSセンサを用いて精度良く(最大変位箇所における誤差5%(0.02mm))変位計測が可能であることが明らかとなった.なお,重力方向の変位計測精度は,既往の研究結果と同等の精度であり,最大変位箇所における誤差は9%(0.34mm)であった. MEMSセンサ計測システムの同期精度に関しても,実際の橋梁での現場計測を通じ,疲労損傷の発生メカニズムの同定に必要な同期精度を有していることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MEMSセンサを用いた加速度計測を,供用中の橋梁にて実施することによって,橋梁の支間中央部における重力方向(z方向)の変位計測だけでなく,橋軸方向(x方向)における変位計測も精度良く実施できることが確認できた.また,現在使用しているMEMSセンサ計測システムは,疲労損傷の発生メカニズムの同定に必要な同期精度を有していることが確認できている.しかしながら,車両が橋梁上を走行することによって橋梁が傾斜し,その傾斜がMEMSセンサの計測データに大きな影響を与える場合があるため,橋梁の傾斜を考慮した新しいアルゴリズムの開発が必要であると考えている. 外力に対する橋梁の変形挙動を把握するためには,変位応答の計測に加えて,回転応答の計測も行う必要がある.MEMSセンサを用いた回転応答の計測に関しても,橋梁の振動応答の特徴を利用し,角速度から回転応答を算出しており,その精度検証が完了している状況である. 現在は,実橋梁で計測した予備データを用いて,MEMSセンサを用いた加速度応答および回転応答から,3次元の変位応答と回転応答を算出し,外力に対する橋梁の変形挙動を計測できるアルゴリズムおよび,そのシステムの構築を進めている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度までに構築および精度検証したMEMSセンサによる多点計測システムを用いて,外力に対する3次元の変位応答および回転応答の計測を実施し,橋梁の変形挙動の把握を行う.さらに,MEMSセンサによる走行車両重量推定システムを同時に実施することによって,橋梁変形を引き起こした走行車両重量や,その車両走行位置等の把握を行う.この二つのシステムによって得られた橋梁の変形挙動と走行車両情報に基づき,重車両が走行した際に生じる応力集中と,その際の橋梁の変形挙動の関係を分析することによって,応力集中の原因となっている部材の変形挙動の特定を行う. 実橋梁における現場計測は,今年度前半に完了する計画としており,今年度後半は計測データの整理・分析および疲労損傷の発生メカニズムの同定システムの構築・検証・まとめを行う. 実橋梁におけるMEMSセンサを用いた3次元の変形挙動の計測結果の精度検証を目的とし,FEM解析を用いた検討にも取り組む.
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Research Products
(1 results)