2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K14719
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 航平 東京大学, 地震研究所, 助教 (00744856)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地盤-都市系連成地震応答解析 / 有限要素法 / メッシュ生成 / 高性能計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては地盤-都市系の詳細な3次元連成解析のうち,地盤と地下・地上構造物群の高詳細3D有限要素モデル構築手法の開発,及び,高速線形地震応答解析手法を開発した.
高詳細3D有限要素モデル構築手法の開発:本研究では三次元形状を適切に反映した解析を実施するため,非構造格子有限要素法に基づいて解析を実施する。ターゲットとする1 km×1 km×300 mの領域を数10 cm程度の分解能で解析する際の解析規模は数百~数千億自由度規模となるため,この大規模モデルを作成するためのロバスト・高速なメッシュ生成手法を開発した.ここでは,昨年度開発した八分木・テンプレートベースのメッシュ生成手法のプロトタイプを並列化・高速化することで大規模メッシュを高速ロバストに生成する手法を開発した.これにより,従来に比べて17.4倍高速に複雑構造のメッシュ生成を可能とした.
線形地震応答解析手法:近年の計算機においては演算能力に対するメモリバンド幅が相対的に低下し,かつ,SIMD幅の増加によって演算性能に対してランダムデータアクセスのコストが相対的に増大している.陰解法の有限要素法における主要計算となる疎行列ベクトル積はメモリバンド幅ネックであり,かつ,ランダムアクセスが多く含まれるため,近年の計算機で高い性能が出ない.そこで本研究では,時系列方向に有限要素メッシュの接続情報が不変であることに着目し,複数時間ステップを同時に線形波動場解析を実施する時間並列積分方法を開発することでメモリバンド幅・ランダムアクセスコストを削減した.これにより,京コンピュータにおいて従来手法比で1.50倍,Oakforest-PACSにおいて従来手法比で1.69倍の高速化を達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に開発した高詳細3Dモデルの自動構築手法,及び,高速線形解析手法に関する研究成果をまとめた論文は高性能計算に関する国際会議であるHPC Asia 2018において非常に高い評価を受け,Best Paper Awardに選定された.なお,HPG Asia 2018 には合計67本の論文が投稿され,採択された30件のうち当該課題の1件が Best Paper Awardに選定されている.このように本研究の成果は高性能計算分野において先端的研究として高い評価を受けており,地盤-都市系の連成地震応答解析の実現に向けて計算技術面において大きく前進したものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も地盤-都市系の連成地震応答解析の実現に向け,メッシュ生成手法の高度化・高性能計算手法の開発を進めていく計画である.特に,平成29年度開発した高速地震応答解析手法は線形波動場問題にしか対応していないため,今後非線形波動場問題にも適用できるよう拡張する計画である.
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Causes of Carryover |
平成29年度で実施した計算において得たデータ規模が想定より小さくなったため,研究計画申請当初に平成29年度予算で計上していた解析結果保存用ファイルサーバの購入を平成30年度に延期した.
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