2017 Fiscal Year Research-status Report
応力発光現象の応用による地盤内部のリアルタイムな応力分布可視化技術の開発
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17K14725
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
近藤 明彦 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 研究官 (80755893)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 粒状体 / 可視化 / 応力発光 / 粒子間接触力 / 応力鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、応力発光現象を応用することで地盤内の応力分布をリアルタイムに可視化する新しい計測手法の開発を目的としている。 平成29年度には、大きく4つの内容を実施した。まず、文献調査により本研究に適した応力発光材料の検討を行い、ユウロピウムを発光中心としたアルミン酸ストロンチウムを採用した。発光粒子の作成では、応力発光材料とエポキシ樹脂を混合した塗料を利用することにより、ガラスビーズに塗布することで実現した。なお、塗膜厚さの均一性は発光強度のばらつきに影響するため、X線CT装置による撮影画像から確認を行っている。次に、作成した発光粒子について、荷重増分と粒子の平均発光強度の関係についてキャリブレーションを行った。特に、このキャリブレーションでは新たな知見として、粒子間の接点で更に強い発光が確認され、粒子の平均発光強度と同様に荷重増分に対する校正係数を得ることができた。つまり、地盤内の応力分布について、粒子単位の作用力だけでなく、さらに詳細な情報として粒子間接触力のリアルタイムな可視化も可能であることを示した。最後に、作成した発光粒子を用いて、二次元断面における単調載荷実験を行った。載荷過程では、一部の粒子と接点が強く発光し、それらが連なったり分岐したりしながら力を伝達する応力鎖という粒状体らしい現象の推移を観察することができた。応力鎖の発達過程は、載荷条件や地盤条件によって強く影響を受けると考えられるため、平成30年度に作成する載荷実験機により検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、本研究に適した応力発光材料を選定し、発光粒子を作成してキャリブレーションを行い、二次元断面での載荷実験において粒状体内に作用する力の分布とその推移を可視化できたことから、概ね当初の予定を順調に達成できている。また、新たに粒子間接触力についてもリアルタイムな可視化が本手法によって可能となることを示せたので、この成果を今後の研究において総合しながら検討を進めていくことで、より高度な成果を得ることができると考えている。また、来年度以降に実施する種々の載荷条件や地盤条件を変更可能な載荷実験機についても文献調査による効果的な検討対象や具体的な設計に向けた事前検討を行っており、予定通りに進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度では、キャリブレーションを行った発光粒子を用いて二次元断面での載荷実験を行うことで、粒子への作用力と粒子間接触力の分布を可視化することができた。平成30年度は、まず二次元断面での載荷実験で得られた可視化結果について、各粒子や接点から換算された力と供試体の境界に設置したロードセル計測された力とを比較することで、地盤内の作用力とその分布の定量的な検証を行う。また、粒状体としての挙動に関する既往の研究成果(平均配位数、ファブリックテンソルなど)との比較やその推移の観察から、成果を得られるよう検討を実施していく予定である。なお、これらの検討と並行して、種々の載荷条件や地盤条件における発光の様子を観察するための載荷装置を製作することで、より詳細に応力分布の可視化による定量的な観察を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)