2017 Fiscal Year Research-status Report
干潟の総合的な将来予測を目指した物理・社会経済価値統合評価モデルの開発
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17K14732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田井 明 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20585921)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 河口干潟 / 熊本地震 / 地盤高変動 / アサリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は,白川河口干潟と中津干潟を対象に地盤高の季節変化の観測を実施した.まず市から川河口干潟に関しては,2016年4月の熊本地震により,白川流域では阿蘇地方を中心に土砂崩れが多発し,これらの土砂崩れにより多量の土砂・流木が河道に流入し,出水によって河道や白川河口干潟へと堆積した.そこで,熊本地震に起因する白川河口干潟への土砂堆積の影響を調査するために,(1)白川河道内の浮遊懸濁物質の通過量の算定,(2)白川河口干潟の地盤高の変化の測量,(3)アサリへの影響調査を実施した.その結果,熊本地震発生後は通常の年の10倍以上の土砂供給が生じており,その90%以上が地震後の最初の大規模出水で流下していたこと,干潟の地盤高は2016年の出水後に上昇し,その後,翌年の5月かけて下降していったが,2017年の出水で地盤高が再び上昇したこと,アサリの生息密度,肥満度ともに浮泥(赤土)の堆積により低落傾向となったこと,などが明らかになった.地盤高変動の概略を全体的に把握するためには線的な情報(RTK測量)のみでは難しく,平面的な情報が必要であると考え,UAVによる平面的な測量を試みた.本研究では,Photoscan Professional 1.3.4 (Agisoft社製)を用いて,撮影した画像から数値標高モデル(DEM)を作成した.白川河口干潟において現地観測を行った.その結果,出水期の影響を受けて多量の土砂が干潟に流入し,その後沖へ排出されていることが示唆された.また,写真測量において,干潟の地盤高の高低差を平面的に把握することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた干潟の地盤変動データを順調に取得することができたので,計画はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,写真測量に関してGCPの設置方法を改善することにより精度向上を試みる.また,写真測量の対象領域を広げ,干潟全体の地盤高変動について把握を行う.また,生物調査を合わせて行い,生物生息環境の短周期変化をモニタリングしたい.これらは,底棲生物の専門家の協力のもとに実施する.さらに,今後は,土砂輸送の数値モデルの作成を本格的に進める予定である.
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Research Products
(6 results)