2018 Fiscal Year Research-status Report
干潟の総合的な将来予測を目指した物理・社会経済価値統合評価モデルの開発
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17K14732
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田井 明 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20585921)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 河口干潟 / d4PDF |
Outline of Annual Research Achievements |
白川河口干潟の観測を初年度から継続して実施した.地盤高測量より,毎年,干潟地盤高は出水による土砂流入により地盤高が上昇し,冬季の波浪等によって堆積土砂が沖へと排出され地盤高が低下するという季節変動をしていることがわかった.また,地震後から年々地盤高は減少しており,2018年にはほぼ全ての地点で土砂堆積の影響を受ける以前の標高に回復しつつあることが分かった.粒度分析より土砂堆積発生前と比較して,土砂堆積発生直後は粒径が細粒化していたが,徐々に土砂堆積発生前の状況に回復しつつあることが分かった. アサリの生息密度に関しては,2016年7月の出水による浮泥が原因で個体数が減少していることから,2018年においても干潟全域で依然回復には至っていない.また,Chl.aについては地点によって増減のばらつきはあるものの,中央と沖の領域では有明海におけるChl.aの平均濃度(84±61mg/m2)と比較して低い値である.これより生息密度が依然回復していない要因の一つに,漁場の生産力が低いことが考えられる. 次に将来気候を予測するためにd4PDFデータ解析を行った.本研究では水平解像度約20kmで日本全域をカバーする領域実験結果を用い,九州地方における過去実験2500年分,4℃上昇実験5400年分,2℃上昇実験3240年分の解析を行った.1時間最大降水量については,通常の降雨に加えて積乱雲の発生による局地的大雨などが観測データに反映されるためにバイアスが大きくなり,48時間最大降水量については,1時間よりも時間の幅が広く,局地的大雨が発生した場合にも観測データに反映されにくくなるため,バイアスが小さくなると考えることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目は,白川及び山国川河口干潟において順調に地形変動データを取得できた.さらに,生態系評価のためのクロロフィルの測定や生物調査もその方法論を確立し,モデル構築のために有用なデータを取得できた.さらに,将来予測のためのd4PDFの解析も順調に進み,最終年度に利用可能な状態となっている. 以上より,おおむね計画通り,研究を遂行出来ていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,これまでの観測結果や解析結果をまとめ,その成果をもとに予測モデルの構築を行う.
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Causes of Carryover |
国際学会の出張旅費が学内の支援を受けられたことにより減額になり,その分で最終年度に追加観測を実施することにより研究の更なる発展を目指すため.
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Research Products
(5 results)