2018 Fiscal Year Research-status Report
厳冬期の耐寒促進剤コンクリートの膨張収縮およびひび割れ予測手法の開発
Project/Area Number |
17K14753
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
崔 希燮 北見工業大学, 工学部, 助教 (70710028)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Ca(NO2)2 / 水和熱 / エトリンガイト / C3A / 強度発現 / 耐寒促進剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒中コンクリート施工では,凝結硬化の初期にコンクリート中で水分が凍結することにより生じる初期凍害と低温による強度発現の遅れが問題となる。そのた め,寒中コンクリート(日平均気温4℃以下)の施工にあたっては,打設後のコンクリート強度が5N/mm2となるまでは,コンクリートを凍結させないように初期養 生を行うこと,その後の強度発現に対しては保温養生や給熱養生等の対策を行うことが推奨されている。しかし,寒中コンクリート工事の施工条件によっては,急傾斜,狭隘,強風,吹雪など仮囲いの設置が困難なケースもある。このような場合には簡易なシート養生などで初期凍害を防止し,セメントの水和反応を促進 させることのできる「耐寒促進剤」が使用されている。しかし,日平均気温が-10℃以下になる地域では, 給熱養生のための養生仮囲いや打設後の品質管理が困難な場合における寒中コンクリート工事への対応が現状では困難である。このような場合にコンクリート自体の凝結・硬化を促進するには,耐寒促進剤の添加量を増量する必要がある。一方,耐寒促進剤の添加量が多くなるほど,コンクリートの膨張量および収縮量が増大し,ひび割れの発生進展の懸念が高まると予想されるが,この点に着眼して耐寒促進剤がコンクリートに及ぼす物理・化学的な影響を定量的に評価した研究は極めて少ないのが現状である。平成30年度では、耐寒促進剤を多量添加した場合の強度発現特性と水和生成物との相関関係を明らかにすることを目的として,各種の物理化学的検討を行った。具体的には,耐寒促進剤の添加量をパラメータとした配合を対象に,圧縮強度や水和熱の経時変化などの各物性試験を行うとともに,Ca(NO2)2を主成分とする耐寒促進剤に含有する亜硝酸イオン(NO2-)および硝酸イオン(NO3-)とC3Aの反応物質の比較評価と水和生成物の同定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
力学的特性のモデルとして圧縮強度については,セメント硬化体中の粒子間連結における最弱点の存在確率に依存する空間的確率分布として空隙率が表されるのに対して,弾性係数は破壊にまで至らない状態での応力をどのように伝達するかという空間構成を表すことと仮定し,強度発現のメカニズムを究明した。一方,耐寒促進剤を多量添加した場合の体積増加率は,初期材齢からエーライト(C3S)とアルミネート(C3A)の反応を促進し,水酸化カルシウムやモノサルフェートの生成量が多くなることから耐寒促進剤の水和反応による毛細管空隙の増加率を考慮し、水和過程の初期領域における空間拡大と水和生成物の密度の差により,徐々に緻密化になることが確認できた。以上は当初評価どおりであることから概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の実験結果に基づき、実構造物レベルにおける耐寒促進剤の多量添加による現象の定量的評価を目的として検討を行う。実部材の非構造物を対象とし,実部材に発生する応力-ひずみを予測するため,初期および中長期長期材齢におけるひび割れ調査などを複合的に行う。一方,モデルの適用を実部材へ拡張し,本研究で提案するモデルによって実部材に発生するひずみを予測を試みる。また、実験およびモデル化を通して得られた結果をもとにFEM解析シミュレーションによって,予測モデルの検証を継続的に実施し,耐寒促進剤の添加量の変化によるコンクリートの挙動に関する定量的・理論的な解明を行う。また,それぞれの段階で目標を設定し,予測モデルについて検証を行い,各レベルで設定された目標を順次満足するように進め,最終的には,耐寒促進剤を多量添加したコンクリートの膨張・収縮およびひび割れ挙動の予測手法を提案する。
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Causes of Carryover |
当初,計上した旅費の差額が発生したため,次年度の旅費として使用する予定です。
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Research Products
(6 results)