2017 Fiscal Year Research-status Report
鋼構造柱部材の座屈理論に基づく新規幅厚比尺度の提案と耐力・変形能力の体系的評価
Project/Area Number |
17K14754
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 公亮 東北大学, 工学研究科, 助教 (50788510)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 正方形中空断面 / 角形鋼管 / 箱形断面 / 局部座屈 / 最大耐力 / 塑性変形能力 / 弾性局部座屈耐力 / 全塑性耐力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,鋼構造建築物の耐震性能に大きな影響を及ぼす角形鋼管柱部材や箱形断面柱部材といった正方形中空断面柱部材を対象として,局部座屈で決定される最大耐力と塑性変形能力を,従来の幅厚比のみならず,辺長比と曲げモーメント勾配・加力角度(二軸曲げ)・軸力比にも応じた形で合理的に評価することである.初年度の2017年度では,次の研究を行った. 1. 部材形状と荷重条件に応じた新規幅厚比尺度SHの提案 曲げせん断力と軸圧縮力を受ける場合の最大耐力と塑性変形能力を,幅厚比・辺長比と曲げモーメント勾配・加力角度(二軸曲げ)・軸力比を考慮して評価するために,これらの部材形状と荷重条件に応じた新規幅厚比尺度SHを提案した.このSHは,弾性局部座屈耐力と全塑性耐力に基づいており,既往研究の曲げせん断力を受ける場合のSHを軸圧縮力の影響も考慮して発展させたものである. 2. 曲げせん断力と軸圧縮力を受ける部材の数値解析 最大耐力と塑性変形能力を調べるために,有限要素法大変形解析を行った.片持ち柱形式の大変形解析を行い,一定の軸圧縮力と単調の曲げせん断力を受ける場合の局部座屈挙動を検討した.解析パラメータを幅厚比・せん断スパン比と加力角度(二軸曲げ)・軸力比および材料データとして,これらの影響を検討した. 3. 新規幅厚比尺度SHによる最大耐力・塑性変形能力評価法の提案 大変形挙動に及ぼす軸圧縮力の影響を理解した上で,最大耐力・塑性変形能力と新規幅厚比尺度SHとの関係を検討し,既往研究の曲げせん断力を受ける場合の評価式をもとに,曲げせん断力と軸圧縮力を受ける場合の評価式を提案した.これにより,最大耐力と塑性変形能力を幅厚比・辺長比と曲げモーメント勾配・加力角度(二軸曲げ)・軸力比に応じた形で予測することが可能になった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,正方形中空断面柱部材のエネルギー法による座屈理論解析結果に基づく新規幅厚比尺度SHを提案し,一定の軸圧縮力と単調の曲げせん断力を受ける場合の局部座屈挙動を有限要素法大変形解析により検討し,最大耐力と塑性変形能力をSHにより部材形状と荷重条件に応じた形で評価することができた.おおむね計画通りに研究が進んだ.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは正方形中空断面柱部材の数値解析で材料特性が限定されていたため,これからは異なる材料データを用いて一定の軸圧縮力と単調の曲げせん断力を受ける場合の局部座屈挙動を調べ,新規幅厚比尺度SHによる最大耐力・塑性変形能力の評価式を検討する.また,一定の軸圧縮力と単調の曲げせん断力を受ける実部材の局部座屈挙動と最大耐力・塑性変形能力を構造実験によっても検討したい.
|
Causes of Carryover |
本年度は,正方形中空断面柱部材の局部座屈挙動を数値解析で検討し,構造実験は行わなかった.次年度は,曲げせん断力と軸圧縮力を受ける実部材の最大耐力と塑性変形能力を構造実験で検討し,助成金を試験体や載荷治具に使用する計画である.
|
Research Products
(2 results)