2017 Fiscal Year Research-status Report
光学的計測技術に基づく建築構造の汎用的損傷評価法に関する基礎研究
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17K14766
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
齊藤 隆典 神奈川大学, 工学部, 助教 (90586497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光学的変形計測 / 非接触型計測 / 画像解析 / 位相限定相関法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、計測対象の構成材料や変形種別に依存しないより汎用的な光学的変形計測技術を開発し、この技術を用いた建築構造の損傷評価法の確立に係る基礎データの蓄積を目的とする。本計測技術はデジタルカメラを用いて撮影したデジタル画像を解析することにより、計測対象の変形挙動を全視野的に把握可能であることが特徴であり、従来のこの種の光学的計測法とは異なり、計測精度に関係する対象へのターゲットマーカやパターン等の塗布が不要であること、対象の変形増大によって解析困難となる問題点の克服を目標とした計測技術開発を試みる。本年度に実施した研究内容については以下に示すとおりである。 [1]構成材料の別による計測適用範囲を確認するため、これまで本計測法において未検討材料であったCFRP補強部材や木質材料を対象とした計測実験を実施した。計測結果の比較より、基礎的な検証段階においては従来の接触型計測法と比べて、本計測法がほぼ同等の精度を有することを確認した。また、画像解析結果より可視化表示したひずみコンタから、刻々と変化するひずみの集中箇所と損傷箇所は概ね一致することを確認し、本計測法が計測対象の損傷の推移を視覚的に捉え得ることを確認した。 [2]計測対象の変形の卓越によって解析困難となる問題点への対応として、回転不変位相限定相関法、サブセット画像更新手法の二種の画像解析アルゴリズムを本計測法に導入し、その効果について検討を行った。回転不変位相限定相関法を導入することにより、精度低下の一因となる回転変位を含む画像の追跡性が向上する反面、解析に要する時間はやや増加する結果となった。その一方、サブセット画像更新手法を導入した場合には、解析時間は既往手法とほぼ同様であるとともに計測追跡性も良好であり、この問題解決に対して有効性が高いことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度においては、当初計画していた計測実験について概ね予定通りに実施することができた。また、当初計画においては平成30年度に予定していたCFRP補強RC梁試験体の計測実験を先行して今年度に実施することができた。得られた実験データの詳細な検討についてはまだ完了していない状況であり、平成30年度に継続して実施予定である。これらを複合的に考えると、現在までの進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い研究を進めていく予定であり、平成30年度では平成29年度に実施した基礎実験の計測データに基づき、CLT部材等のより応用的な構造部材を対象とした計測実験を実施予定である。また併せて、平成29年度に実施した計測実験のうち、検討がまだ十分ではない計測データについては引き続き画像解析および検討を進めていく予定であり、光学的変形計測技術の開発に関する基礎データの蓄積を図る。
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Causes of Carryover |
計測関係機器類の内容について現有品の併用も考慮して見直しを行った結果、物品費用が抑えられたために研究費に未使用額が生じた。次年度の使用計画としては、計測実験に用いる試験体製作費のほか、当初の計画段階では全体の予算の都合上やむを得ず計上できなかったものの、本研究成果の国際的発信を行う必要性を考え、国際会議発表旅費に充て、本研究課題を遂行する。
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Research Products
(2 results)