2018 Fiscal Year Research-status Report
受動喫煙による健康リスク低減のための効果的な分煙対策に関する研究
Project/Area Number |
17K14770
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
李 時桓 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (60624997)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 喫煙室 / 人体移動 / ドア開閉 / 汚染質 / 換気 / 受動喫煙 / 分煙対策 / エアカーテン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,ドア開閉や人体移動による空気流動について室間換気量の観点から定量的に解明しつつ,喫煙室から汚染質の漏洩を効果的に抑制する換気対策について検討することで,効果的な分煙対策として喫煙室設備の計画方法を提案することを目的とする。 2017年度には,第1段階研究(ドア開閉や人体移動による空気流動について室間換気量の観点から定量的に解明)として(1)ドア開閉が室間換気量へ及ぼす影響,(2) 人体移動が室間換気量へ及ぼす影響,(3)ドア開閉+人体移動が室間換気量へ及ぼす影響について検討を行った。特に,ドアの開閉による室間換気量の変化を明らかにし,等温・非等温条件での変動値も定量的に検討した。また,ドアの回転角速度,開き速度,開く向き,ドアの種類(開き戸,引き戸)による違い,人体の移動に伴って発生する気流挙動,ドア開閉と人体移動の組み合わせによる気流挙動などを明確にした。また,2018年度には,第2段階研究(受動喫煙による健康リスク低減のための効果的な分煙対策を提案)を行うために,(1)喫煙室に設置された排気装置の風量が汚染質の漏洩量へ及ぼす影響,(2)喫煙室と隣接室の温度差が室間換気量に及ぼす影響,(3)汚染質の漏洩を減らすためのエアカーテン(簡易型,循環型,プッシュプル型)の効果についてそれぞれ検討した。 以上の結果については2017年度に4編の論文,2018年度には4編の論文を発表し,2019年度には6編の論文を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書に書かれた2017年度の研究計画・方法はすべて達成されており、下記にその詳細を報告する。 (1)「ドア開閉が室間換気量へ及ぼす影響」では試験と数値解析を用い,ドアの開閉による室間換気量の変化について検討した。トレーサガス(SF6)を室内に一様拡散させ,ドア開閉回数による濃度減衰から室間換気量を測定し,3次元風向風速及び気流可視化によりCFD解析の整合性を確認した。特に,ドアの回転角速度,開き速度,開く向きによる室間換気量の変動及び,等温・非等温条件での変動値を定量的に検討し,空気流動の構造を明確に把握した。(2)「人体移動が室間換気量へ及ぼす影響」では,人体移動が室間換気量にどの程度影響を及ぼすのかを検討した。実測による検討は行われてなかったが,人体の3次元モデルを作成し,数値解析を用いて人体移動速度を0.5~1.5 m/sに可変しながら非定常計算を行い,人体移動が室間換気量にどの程度影響を及ぼすのかを明らかにした。(3)「ドア開閉+人体移動が室間換気量へ及ぼす影響について検討」では,ドア開閉と人体移動の組み合わせによる検討を行い,ドア開閉のみや人体移動のみでの結果とどのような相関関係があるのかを検討した。 また,2018年度の研究計画・方法は約70%達成されており、下記にその詳細を報告する。 (1)「喫煙室に設置された排気装置の風量が汚染質の漏洩量へ及ぼす影響」では,室圧が負圧に維持される喫煙室を対象とし,排気装置の風量による汚染質の漏洩量への影響を検討した。(2)「喫煙室と隣接室の温度差が室間換気量に及ぼす影響」では,室間温度差による室間換気量を非定常CFD解析で検討した。(3)「汚染質の漏洩を減らすためのエアーカーテンの効果」では,喫煙室にエアーカーテンが設置された場合,その種類(簡易型,循環型,プッシュプル型)による室間換気量の低減効果を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を精緻に達成させるために研究計画に従って研究を推進していたのだが,研究遂行に想定以上に時間がかかり,補助事業期間の延長(~2020年03月)を申請し,許可を受けている。現在,やや遅れている2018年度の研究計画・方法の(3)「汚染質の漏洩を減らすためのエアーカーテンの効果」である「エアカーテン(簡易型,循環型,プッシュプル型)の効果」についてコンピュータを用いた非定常数値解析による検討している。 また,今まで得られた研究成果を空気調和・衛生工学会,国際会議(CLIMA 2019,Building Simulation 2019, IAQVEC 2019)に論文(2019年度計6編)として投稿しており,情報を公開する計画を立てている。更に,雑誌論文も投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果を纏める過程で少し遅れが生じ,消耗品,旅費,人件費・謝金などがすべて使いきれなかった。本年度に使えなかった研究費は次年度に国際会議(CLIMA 2019, ROMANIA, 2019年5月26日~29日)にて成果発表((1)Sihwan Lee: Numerical study on heat blocking efficiency of non-recirculating air curtain and its optimal discharge velocity, (2)Sihwan Lee: Study on energy loss and thermal environment through door open while air conditioner running)を行うための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)