2018 Fiscal Year Research-status Report
外壁面での水分に関わる藻類生育条件の定量化と汚染抑制手法の検討
Project/Area Number |
17K14772
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中嶋 麻起子 神戸大学, 工学研究科, 助教 (40773221)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気生藻類 / 高温暴露 / 外壁汚れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は外壁面に生じる汚れの主な原因である気生藻類について、生育条件の定量化、抑制手法の検討を目的とした研究である。 [1]気生藻類の湿度(水分)に関する生育条件の定量化実験:外壁面に生育している気生藻類を用いて、一定温湿度条件下での培養実験を行っている。気生藻類に対して定期的に水分供給を行い、クロロフィル蛍光測定を用いて藻類の生死の評価を行っている。水分供給に関する生育条件の閾値を明らかにしたいという目的から、異なる供給頻度について検討を行っている。 [2]高温による気生藻類の生育抑制可能性についての実験:高温による気生藻類の死滅という考え方が、外壁面での藻類抑制に対して有効であるかどうかについての実験を行った。藻類に近い仲間である地衣類に対して高温暴露による抑制策が有効であるという情報を参考とし、[1]での培養実験と同様の気生藻類を利用し、40℃、50℃以上の高温に長時間(6~24時間)暴露した後、藻類が死滅しているかどうかについてクロロフィル蛍光測定を行っている(現在も継続中)。 [3]外壁面での温湿度変化と汚れ性状の測定:寒冷地である北海道に建つ建物において、外壁面に気生藻類による汚れが発生し問題となっている。この建物は数年に一度外壁面の清掃を行っているが、清掃後約1年で外壁面に藻類による汚れが発生している。この建物において、外壁表面温度測定、周辺環境測定を行い、気生藻類の発生原因についての検討を行っている(現在も継続中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から継続して「気生藻類の湿度(水分)に関する生育条件の定量化実験」「高温による気生藻類の生育抑制可能性についての実験」について順調に進展していると考えられる。 特に「高温による気生藻類の生育抑制可能性についての実験」については、当初は実験室レベルでの検討のみを行う予定であったが、実際の屋外での適応を考慮した暴露温度、暴露時間について検討を行っている。 外壁面での温湿度変化と汚れ性状の測定については、年間を通した温湿度データ、汚れ性状の変化の結果が得られた。これらから、今後は実建物での測定における藻類生育可能性と温湿度条件についての検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
気生藻類の生態については未知の点が多く、現時点では生育条件の定量化(特に水分と温度に関する生育条件の定量化)に焦点を絞って研究を行う予定である。生育条件を定量化することで、実建物での気生藻類の生育可能性について予測を行うことができ、さらに抑制手法の提案につながると考える。
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Causes of Carryover |
実測の際の旅費が当初の予定よりも少なく済んだため、本年度の旅費と合わせて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)