2017 Fiscal Year Research-status Report
蓄電・蓄熱も考慮した都市エネルギー供給設備の配置計画手法の構築
Project/Area Number |
17K14773
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
住吉 大輔 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60432829)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 都市 / エネルギー / GIS / 分散型電熱源 / 需要 / 供給 / 再生可能エネルギー / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、GISを用いた交通計画や用途配置計画と今後益々重要になるエネルギー計画とを重ね合わせ、都市としてのあるべき姿を明らかにすることを最終目標として、エネルギーの側面から都市計画を行うための解析手法を構築するものである。 初年度である2017年度は、需要パターン推計方法の開発を中心に研究を進めた。GISデータから建物用途、建築面積、延床面積、階数などの情報を抽出し、それらに基づいて建物ごとに10分間隔の電力、暖房、冷房、給湯の需要がそれぞれ算出されるプログラムを構築した。需要量の計算手法は非住宅の6業種(病院、ホテル(宿泊業)、事務所、商業、飲食店、学校)を対象に開発を行った。本プログラムの計算に用いる各業務別の年間エネルギー需要原単位を作成するにあたり、4業種(病院、ホテル、事務所、商業)については参考文献の年間需要原単位を採用した。文献に記載の無いものについてはBEST専門版などを活用して年間需要原単位を作成した。基準となる需要スケジュールに変動を与えるため、既往調査の建物エネルギー消費量データから変動の確率密度関数を作成し、業種ごとの実際の建物エネルギー消費量のばらつきを再現できるようにした。構築した手法を用いて福岡市の天神地区、博多地区の需要予測を行い、ばらつきを持った建物ごとの需要変動が推計できることを確認した。これらの成果は2017年度第57回日本建築学会九州支部研究発表会で公表済みである。また、2018年度日本建築学会大会(東北)へも投稿を行っており、発表予定である。 また、エネルギーシステムの全体計算モデル構築についても検討を進めた。2017年度は主に、都市内に分散配置する機器をインプットデータとしてどのように表現すべきか検討を進め、遺伝的アルゴリズム等の最適化メソッドの組み込みも視野に入れたインプットデータの入力マトリックスの素案を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、2018年度半ばに完成予定だった建物の需要変動パターンの推計方法の作成が概ね完了した。また、エネルギーシステムの全体計算モデル構築も順調に検討が進んでいる状況である。当初の予定通り、2018年度半ばにはGISデータを基にエネルギーの需給を計算できるモデルを完成できる見込みであるため、「概ね順調に進展している」と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
建物の需要変動パターンの推計方法の作成が予定よりもやや早く完成したため、今後はエネルギーシステムの全体計算モデルの構築に注力する。パーツとなる熱源機や蓄電池、太陽光パネルなどの計算サブモデルは概ね構築できており、これらを組み合わせGISデータから推計される需要データと重ね合わせて、時々刻々のエネルギー需給状況を計算するプログラムの構築が検討・作業の中心となる。2018年度前半のうちにはこれを完成する予定である。 その後は、主に都心商業街区を対象にした検討に入り、どの程度の再生可能エネルギーの導入が可能なのかや、バッファとなる蓄電池、蓄熱槽などがどの程度あれば適切かを検討していく。その後、住宅群も含む検討に入る。当研究室で現在も研究対象としており、実際のエネルギーデータを所有している福岡市アイランドシティの住宅街区を最初の検討対象として、精度検証なども行う。 また、GISソフトウェアを用いたエネルギー需給状況の可視化(マップ化)の検討も進め、どのようにエネルギーをマップ上に表現すれば、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入への理解を深めることができるか検討を行う。
|