2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a model for sustainable utilization of temporary wooden housing and exploration of its potential as a community facility
Project/Area Number |
17K14786
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
冨安 亮輔 東洋大学, ライフデザイン学部, 准教授 (40755253)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 仮設住宅 / 再利用 / コミュニティ / 地域 / 都市計画・建築計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災や熊本地震で供給された木造仮設住宅を対象に、一義的な役割を終えたあとの利活用に着目する。利活用の物質的なメリットだけでなく防災教育や震災記憶の防止といった点でも価値があると捉え、コミュニティ施設への転用にフォーカスし、持続的利活用モデルを探るものである。そこで、以下の3点について研究を行った。 (A)過去の災害事例の考察:学術誌をレビューした上で、酒田市大火と兵庫県一宮町の土砂災害(1976)と雲仙普賢岳噴火(1991)を転換期として見出した。その上で地元の図書館に保管されている郷土史資料、当時の地方新聞記事を網羅的に調査したところ、双方の事例で払い下げや転用の事例を被災者の生活とともに確認することができた。 (B)東日本大震災の事例の体系的整理:岩手県のほか、福島県会津若松市、宮城県南三陸町、また奈良県十津川村において、行政担当者へ経緯と工事についてインタビュー調査と現地調査を行い、また設計図を入手することができたため、構法的な課題も整理することができた。最終年度には、転用恒久化を事前に強く意識した熊本地震の木造仮設住宅について現地調査を行い、恒久化の可否を決める要素として立地や土地の所有が関係していることを指摘した。 (C)コミュニティ施設転用のパイロット事例の検証:岩手県遠野市と大船渡市において木造仮設住宅の部材を再利用したセルフビルドプロジェクトに主体的に関わりアクションリサーチを行った。大船渡のプロジェクトはコロナ禍などの影響で現時点で完成に至っていないが、遠野の方では仮設住宅があった隣地に東屋が完成している。また、行政担当者とBで得られた知見のフィードバックや防災教育展示施設の計画につながる意見交換を行った。最終年度には、隣接地の災害公営住宅に住む居住者へインタビュー調査を行い、仮設住宅の部材を活用した恒久施設の意義と課題を考察した。
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