2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on effective strategies for enhancing publicness of town square through social space management
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17K14791
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
西村 亮彦 国土技術政策総合研究所, 社会資本マネジメント研究センター, 研究官 (30749601)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 公共空間 / 広場 / 場 / ソーシャル・キャピタル / 社会ネットワーク / マネジメント / アクティビティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、まちなか広場に係る多様な主体が相互作用する「場」のマネジメントを通じて、ソーシャル・キャピタルの醸成と公共空間の質的向上の好循環を生み出す方法論の構築を目的としている。全国のまちなか広場4件を対象に、市民のアクティビティとその背後にある社会的構造の関係を読み解いた上で、まちなか広場における場のマネジメント・モデルの構築を行うものである。 平成29年度は、まず、ケーススタディ対象地の検討にあたり、全国のまちなか広場60件を対象に、マネジメント体制や利用状況に関するアンケート調査を実施した。アンケート結果に基づき、グランドプラザ(富山市)、あかし市民広場(明石市)、姫路駅北にぎわい交流広場(姫路市)、みんなのひろば(松山市)の4ヶ所をケーススタディ対象地として選定した。 次に、上記4ヶ所の広場を対象に、公共空間としての広場の質を、広場を舞台に繰り広げられる市民のアクティビティから読み取ることを試みた。非占用使用時における観察調査を通じて、自然発生的なアクティビティに関するデータを収集するとともに、管理・運営を担当する行政組織や民間まちづくり組織からの情報提供を通じて、イベント等の計画的なアクティビティに関するデータを収集した。本研究では、ある空間が公共的であるということは、その空間が多様な人々・アクティビティに対して開かれているということだと捉え、収集したデータを基に、アクティビティの自由度と利用者の複数性から、各広場の公共空間としての質的特徴を把握・整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、グランドプラザ(富山市)、ナカドマ(長岡市)、姫路駅北にぎわい交流広場(姫路市)、みんなのひろば(松山市)の4ヶ所をケーススタディ対象地として想定していたが、比較分析を行う上で最適な組み合わせとするべく、全国各地のまちなか広場を対象としたアンケート調査を実施し、調査結果を踏まえ、ナカドマ(長岡市)に代わりあかし市民広場(明石市)を新たに対象地として選定した。 アンケート調査の実施に伴い、ケーススタディ対象地における観察調査は11月~12月にかけて実施することとなった。いずれの広場についても、晴天時の日中に観察調査を行った。また、管理・運営組織による協力の下、平成29年度の占用使用に関するデータを収集するとともに、各組織のマネジメント担当者に対するヒアリングを通じ、全体的な利用状況を把握した。 観察調査の結果は、マッピングによる視覚的な整理、及び表形式の定量的な整理を行った。占用使用に関するデータは、表形式の整理を行なったが、ケーススタディによって収集可能なデータの内容に若干のバラツキがあることから、比較分析に用いるデータの抽出・統一を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、各ケーススタディ対象地おける広場のマネジメント状況に関するヒアリング調査・アンケート調査等を実施し、広場の管理・運営や利活用に係る多様な主体が相互作用する場の生成・変容過程を確認するとともに、ソーシャル・キャピタル醸成に繋がった場を特定する。 平成31年度は、ケーススタディ対象地の公共空間としての質とソーシャル・キャピタル醸成のプロセスとの相関を横断的に分析し、ソーシャル・キャピタル醸成と公共空間の質的向上の関係性をパターン化した上で、類型ごとに用いられた場のマネジメント手法を比較分析し、地域のソーシャル・キャピタルを高め、広場の公共空間としての質を高めるマネジメントの方法論を構築する。
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Causes of Carryover |
当初、雨天等の天候不良を見越して現地調査に係る費用(旅費・現地調査補助等)を見積もっていたが、天候不良に伴う再調査が1回のみで済んだため、当初予定額と使用額との間に差額が生じることとなった。また、近郊における別の調査と併せて現地調査を実施する、近接する調査対象地(明石市・姫路市)をセットで回る等の工夫もあり、旅費が少額に抑えられた。 平成30年度は、ケーススタディ対象地における関係者に対するヒアリングやイベント時の使用状況確認のための旅費を中心に、研究成果の発表や現地調査の補助等に助成金を使用する予定である。
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