2019 Fiscal Year Research-status Report
ヴェネツィアの周辺水域ラグーナと後背地テッラフェルマの地域形成史に関する研究
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17K14792
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
樋渡 彩 近畿大学, 工学部, 講師 (90793696)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラグーナ / 空間構造 / 分類 / 島 / バッキリオーネ川流域 / ヴィチェンツァ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、i)とii)の大きなふたつの柱からなる。 ⅰ)ラグーナ全体については、19世紀初頭の地図を収集し、共和国崩壊直後の状態を読み解くことで、かつての空間構造を明らかにした。居住地の立地から類型を考察し、次のように分類することができた。(1)ラグーナの境界の本土側に位置する居住地について。河川沿いに建物が並ぶタイプ、運河沿いに建物が並ぶタイプ、バレーナに面するタイプに分類した。(2)ラグーナの境界のラグーナ側に位置する居住地については、カヴァッリーノなどを挙げ考察している。(3)高密な居住地では、ヴェネツィア本島、キオッジア、ブラーノ、ムラーノを取り上げている。そして、マッツォルボとトルチェッロの類似性を述べた。リオ・ピッコロのような低密な居住地についても触れている。(4)修道院だけの島について。島1つを修道院が所有しているタイプである。検疫施設として利用されていた島もこのタイプに分類し、ラグーナの島々の役割を描きだした。(5)要塞の島について。(6)伝統的な住宅「カゾーネ」のみの島について。(7)アドリア海側の島について。(8)そのほかラグーナの土地利用について。この一連の分析結果を報告書としてまとめる予定である。 ii)テッラフェルマからヴェネツィア周辺に注ぐ河川・運河の流域については、バッキリオーネ川の流域を重点的に調査し、研究成果を、日本建築学会中国支部大会で発表した。題名は、「16世紀ヴィチェンツァの都市構造に関する考察」、「エウガネイ丘陵地域におけるテルメの考察」、「バッキリオーネ川流域における都市構造の考察」である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年8月以降、パソコンやスキャナーなどの研究環境が整ったため、研究を円滑に進めることが可能となった。しかし、史料によっては掲載許可の必要なものがある。論文などに使用する際に必要な申請については2020年度の課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている一連の研究を報告書としてまとめる予定である。その報告書に史料を掲載するため、掲載許可を申請する必要がある。2020年度は主に史料の確認および使用許可の申請を進める予定である。 また研究成果の一部を建築学会大会で発表する予定である。題名は「ラグーナ・ヴェネタにおける居住地の変遷に関する考察――トルチェッロを事例として」である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、最終的な調査および史料確認が不可能となったため。
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