2020 Fiscal Year Research-status Report
ヴェネツィアの周辺水域ラグーナと後背地テッラフェルマの地域形成史に関する研究
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17K14792
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
樋渡 彩 近畿大学, 工学部, 講師 (90793696)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ラグーナ / 島 / トルチェッロ / マッツォルボ / バッキリオーネ川 / ポルティコ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、i)とii)の大きなふたつの柱からなる。 ⅰ)ラグーナ全体については、Ernesto Canalによる考古学の研究成果から古代ローマ時代の状況を把握した。古代ローマ時代になると、ラグーナ内の居住地が確認されている。トルチェッロ、ブラーノ、ブラーノとサンテラズモの間、サンタ・クリスティーナ、コンスタンツィアカ、アンミアナなどで居住地があったことが確認されており、現在では水面下のところも多いことから、地形が現在とは異なっていたことを把握した。ラグーナの地形は変化が激しいことから、詳細な地形変遷を追うことは難しいが、12世紀頃、15世紀、16世紀、17世紀、18世紀の地図を比較することで、大きい変化を確認することができた。個々の島については、トルチェッロとマッツォルボの変化の過程について考察した。この成果は「ラグーナ・ヴェネタにおける居住地の変遷に関する考察――トルチェッロを事例として」日本建築学会(2020年度)としてまとめた。また、「マッツォルボにおける空間構造に関する歴史的考察」と題して日本建築学会(2021年9月)で発表する予定である。 ii)テッラフェルマからヴェネツィア周辺に注ぐ河川・運河の流域については、バッキリオーネ川の流域の研究成果を、日本建築学会中国支部大会で発表した。題名は、「古代バッキリオーネ川流域における居住地の位置に関する考察」、「小都市エステにおけるポルティコの形状に関する歴史的考察」である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響により現地調査および現地で史料収集できないことで、当初より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている一連の研究を報告書としてまとめる予定である。その報告書に史料を掲載するため、掲載許可を申請する必要がある。2021年度は主に史料の確認および使用許可の申請を進める予定である。 また研究成果の一部を建築学会大会で発表する予定である。題名は「マッツォルボにおける空間構造に関する歴史的考察」と題して日本建築学会(2021年9月)である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、最終的な調査および史料確認が不可能となったため。
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