2018 Fiscal Year Research-status Report
The study on the transmission of the architectural technology and foot-ruler via overload and marine route
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17K14799
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木谷 建太 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (50514220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ベトナム / 尺度 / 建築設計技術 / 海域ネットワーク / 陸域ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
漢喃文献の書誌学・文献学的研究として、カディエールとペリオ、ガスパルドンを嚆矢として、松本信広、山本達郎ら日本人研究者によって各所蔵機関の所蔵書目が整理されているが、第一次インドシナ戦争と、続くベトナム戦争の戦禍および混乱によって、失われたものも少なくない。残った史料についても、ベトナム国内外のさまざまな機関に分散所蔵されていることが確認されている。その一つに、フランス・パリにあるフランス極東学院図書室があり、在仏越僑チュォン・ディン・ホエによる目録にて、確認および検索が可能となっている。 本年度は、昨年度行った、フランス植民統治下、インドシナ半島をはじめとした東南アジア全域で調査研究を行ったフランス極東学院の史資料群を所蔵する同学院図書室への調査によって得られた、阮朝期における重要史料のうち唯一内容を確認できていなかった『大南會典事例続編後次』の読解を行った。これにより、『大南會典事例續編後次』について、『大南會典事例』や『大南會典事例續編』との関連および編纂の経緯を明らかにし、さらに、ほかの欽定漢喃文献に無い、建築史学的に重要な記述の存在を明らかにした。 また、日本建築学会の[若手奨励]特別研究委員会「西洋文明圏外の古代・中世における建築書と建築理論の文献調査・研究」に委員として参画し共同研究を進めた。 さらに、以上の結果を、ベトナムを訪問し、ベトナム人研究協力者と直接、情報共有・意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度行った、フランス植民統治下、インドシナ半島をはじめとした東南アジア全域で調査研究を行ったフランス極東学院の史資料群を所蔵する同学院図書室への調査によって得られた、阮朝期における重要史料のうち唯一内容を確認できていなかった『大南會典事例続編後次』の読解を行った。これにより、『大南會典事例續編後次』について、『大南會典事例』や『大南會典事例續編』との関連および編纂の経緯を明らかにし、さらに、ほかの欽定漢喃文献に無い、建築史学的に重要な記述の存在を明らかにした。 また、日本建築学会の[若手奨励]特別研究委員会「西洋文明圏外の古代・中世における建築書と建築理論の文献調査・研究」に委員として参画し共同研究を進めたなかで、なぜベトナムに、建築理論書あるい建築技術書がないかということについての原因について考察したことにより、当該研究の意義を相対的に確認し、かつ研究の方向性についての意見交換が行えた。 以上により、以降の調査研究を円滑に進める方法の検討など含めて、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ベトナムの博物館等機関への史資料調査を行う。本研究の対象地であるベトナム社会主義共和国では、国立公文書館や研究院等の機関において、外国人による史資料の閲覧や複写等の利用に制限がかかることが少なくない。申請者は、すでに、国立第一公文書館(ハノイ)、漢喃研究院(ハノイ)、国立第四公文書館(ダラット)、ホーチミン市社会科学図書館(ホーチミン)に、研究協力者であるレ・ヴィン・アン氏とともに訪問し、司書に面会、研究主旨の説明を行い、一定の理解(一部機関では許可証)を得ている。上記機関での史料調査については容易かつ確実であり、かつ同様の方法をとれば、他の所蔵機関での史料調査についても十分期待できる。また、史資料調査で訪問する都市の古書店から、特にフランス植民統治下での出版物の購入・収集も想定しており、ベトナムにおける古書流通の傾向把握を副次的成果とする。 また、一昨年度行った、フランス極東学院の史資料群を所蔵する同学院図書室への調査を計画している。 さらに、最終年度には、本研究の成果をとりまとめ、日本語・ベトナム語・英語を併記した小冊子を作成し、成果の積極的な公開を行いたい。これは、関連研究分野から、成果の援用だけでなく、成果の還元を企図している。
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Causes of Carryover |
研究計画どおりの調査研究を行ったが、出張の日数の関係で、当初の見積もりよりも支出を抑えることができた。これを、他の資料所蔵機関へ海外調査に行くた めに、翌年度分として請求した助成金と合わせて、更なる調査の充実を図るのが目的である。
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