2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the Effect of Hydrogen Microbubble Dynamics on Catalytic Reactions
Project/Area Number |
17K14808
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柳田 さやか 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40579794)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 表面修飾 / 表面濡れ性 / 水素 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
白金担持酸化チタン触媒を用いたアンモニアボラン水溶液からの水素発生反応において、触媒表面の濡れ性と水素泡の離脱挙動、触媒活性の関係について調査を行った。 空気中における水滴の接触角(θ)と水中における気泡の接触角(φ)は理想的にはφ =180°-θとなる。しかし、平板状のモデル触媒を種々のアルキルリン酸で表面修飾し接触角を空気中・水中の両方で計ったところ、θの値が大きく変化した一方でφはθに依らず150-160°程度となり、この関係は成立しないことが分かった。この理由として、触媒表面に存在する水分子の層が気体と固体表面の直接的な接触を妨げていることが考えられた。一方で、触媒反応による水素発生においては疎水的な触媒表面で水素泡が基板に付着したまま半球状に大きく成長する様子が観察された。これらの実験から、水中の触媒表面に気泡を接触させる通常の接触角測定の条件と、触媒表面から気泡が発生する触媒反応の条件ではφの値が著しく異なることが明らかになった。疎水的な表面ほど水素の発生は遅くなる傾向がみられ、この原因としては発生した水素泡が触媒表面に付着することで反応サイトを覆ってしまうことが原因と考えられた。また、溶液を攪拌した際には水流によって触媒表面の水素泡が取り除かれるため、触媒活性の差は小さくなった。 ここまでの検討から、触媒反応の際の水素泡の表面からの離脱しやすさは水中における気泡の接触角からは判断できないという知見が得られた。気泡の離脱しやすさの指標としては基板を傾けて気泡が動き出す角度、及び動的な接触角が有効である可能性があり、現在はこの関係を調査中である。今後はこれらの角度と触媒反応における水素泡の挙動との関係をまとめ、論文等の形で発表する予定である。
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