2018 Fiscal Year Research-status Report
Discovery of Eu3+-activated red-emitting phosphor using charge-transfer transition of transition metals as blue-light absorber
Project/Area Number |
17K14813
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
長谷川 拓哉 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 助教 (30793690)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 蛍光体 / ユーロピウム / 青色応答 / 電荷移動遷移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の二年目となる本年度では,可視光吸収を有する新しい酸化物結晶を作成し,その結晶格子内に発光イオンとなるEu3+を導入することで,青色光応答可能なEu3+蛍光体の創出を目指した。 Ba2ZnMoO6はMo6+-O2-間の電荷移動遷移が可視光領域にまで達する興味深い材料である。本年度は,この材料にY3+を導入した新規化合物を合成し,結晶格子のサイズや電子状態の制御が可能となり,その光学特性をコントロールすることが可能となることが予想される。そこで本年度は,Ba2(Zn,Mo,Y)O6を固相反応法ならびにゾルゲル法により合成した。固相反応法で合成した材料については一部不純物が含まれた混相として得られたが,ゾルゲル法により作成した材料については,不純物を含まない良質な結晶を単相として得ることに成功した。Y3+導入Ba2ZnMoO6において,Y3+の固溶濃度に対してその光学吸収端はそれほど変化なく,いずれの試料においても400nm付近に吸収端を有することが分かった。さらにこの材料にEu3+を固溶した材料を合成し,紫色光照射下において,Y3+未添加材料はEu3+由来の強い赤色発光を示したが,Y3+添加量に応じてその発光強度は減衰していくことが分かった。この結果から,格子中に取り込まれたY3+によって,Eu3+の発光を阻害していることが示唆された。このような発光減衰に関する報告はそれほど多く報告されてはいないこともあって,その原因については明確にわかっていないが,Y3+の導入に伴って,何らかの欠陥が生成し,Y3+由来の欠陥がEu3+の励起電子を非輻射的に失活させたと考えられる。 来年度は,本年度に得られた発光減衰メカニズムの解明にチャレンジし,さらに,青色応答新材料の創出を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可視光吸収可能な新規化合物の発見ならびに,Eu3+の導入に成功していることから,ある程度順調に進んでいる。ただし,有望な材料の発見には至っていないため,今後も進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに新しい青色光吸収母体結晶の合成には成功している。しかしながら,まだEu3+の強い赤色発光の実現には至っていない。今後の課題としては, 1)Ba2(Zn,Mo,Y)O6:Eu3+材料の発光減衰機構の解明 2)新しい母体材料の探索 を引き続き検討する必要がある。 1)については,Y3+の配位環境を解明することに加え,Moの酸化状態解析によって,その欠陥生成を予測する。 2)については,電荷移動遷移を利用した黄色顔料を用いて,効率的に青色光を吸収する材料を選択し,Eu3+を導入することによって,赤色発光の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
試薬代の計上分は,前年度に購入した分でほとんどが間に合ったことによる。また,ガラス器具などはそれほど消耗しなかったことにもよる。
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Research Products
(5 results)