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2017 Fiscal Year Research-status Report

原子間ポテンシャルを用いた全散乱解析による機能性酸化物の欠陥構造の可視化

Research Project

Project/Area Number 17K14815
Research InstitutionTokyo University of Science

Principal Investigator

北村 尚斗  東京理科大学, 理工学部先端化学科, 講師 (10453812)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2019-03-31
Keywords酸化物イオン伝導体 / 2体分布関数 / 第一原理計算 / 格子欠陥
Outline of Annual Research Achievements

固体酸化物形燃料電池の電解質としての利用が期待されている酸化物イオン伝導性を示す結晶について、原子間ポテンシャルを用いた構造解析により原子配列を明らかにし、導電特性との相関関係を明らかにするため、以下の実験を行った。
水熱法により得られた前駆体を熱処理することによりLa9.33+xSi6-yMyO26±δの(M=Al, Mg)の合成を試みた。このとき合成条件を検討することにより、アパタイト型構造の単一相となる組成範囲を明らかにした。また、本研究で提案する解析手法の有効性を様々な物質で実証するため、上記の物質と同様に酸化物イオン伝導性を示すLa1.5Sr0.5Ga3O7+δとNa0.5Bi0.45TiO3-δにも着目し、固相法により合成した。導電特性を評価した結果、いずれの試料も酸化物イオン伝導性を示すことが示唆され、La9.33Si6O26系材料についてはSiを他元素で部分置換することにより導電率が向上することを確認した。さらに、中性子および放射光X線回折測定を行い、Bragg反射を用いた結晶構造解析により、結晶構造中における各原子(イオン)の平均位置を決定した。
上記の試料の原子配列に関する詳細な知見を得るため、La9.33Si6O26とLa1.5Sr0.5Ga3O7+δ、Na0.5Bi0.45TiO3-δについて中性子・放射光X線全散乱測定を行い、2体分布関数(動径分布関数)を導出した。これらのデータをモンテカルロ法で解析(逆モンテカルロ法)することにより、伝導種となる酸化物イオンの分布を検討した。このとき、一部の試料については第一原理計算により原子間にはたらく力(原子間ポテンシャル)を求め、得られたポテンシャルを逆モンテカルロ法に適用することにより、解析精度の向上を試みた。その結果、いずれの試料についても酸化物イオンの伝導経路がカチオンの分布に依存することがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初計画において、平成29年度は試料合成、導電特性の評価、Bragg反射を用いた結晶構造解析、第一原理計算による原子間ポテンシャルの構築を予定しており、La9.33Si6O26をはじめとする代表的な試料について目標を達成できた。また、当初計画では平成30年度に2体分布関数を用いた逆モンテカルロ法による原子配列解析を実施する予定であったが、順調に計画を遂行できたため、一部の試料については平成29年度に実施し、酸化物イオン伝導機構とカチオンの分布の関係について新たな知見を得ることに成功した。

Strategy for Future Research Activity

当初計画のとおり、本研究の中核となる欠陥構造解析(原子配列解析)と電子構造解析に重点をおいた研究を実施する。
具体的には、La9.33Si6O26を母体とする部分置換体の合成を平成30年度も引き続き行い、導電特性の評価と中性子・放射光X線を用いた全散乱測定を実施する。得られたデータを構造因子S(Q)に規格化し、還元二体分布関数G(r)への変換を行う。なお、一部の試料については既に測定済みであり、解析に十分な精度のデータが得られることを確認している。これらの関数とBragg反射を併用した解析により結晶中における欠陥(伝導イオン)の分布を検討する。なお、解析手法としては逆モンテカルロ法を用いる。さらに、得られた原子配列に存在する空間の分布を詳細に検討する。これらの解析により、部分置換が原子配列に及ぼす影響を系統的に評価し、導電特性との相関関係の解明を試みる。
さらに、電子構造に関する知見を得るため、得られた原子配列をもとに第一原理計算を行い、状態密度、電子密度分布から見積もられる各イオンの実効的な価数、最大局在ワニエ関数による化学結合の評価を行う。これにより、電子構造の観点から構造と導電特性の関係を明らかにする。
以上の解析によって得られた知見に基づき、新規材料の設計と合成・評価を試みる。

Causes of Carryover

全散乱測定用の試料合成の一部を次年度(測定の直前)に実施するため。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017 Other

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] 全散乱測定によるペロブスカイト型Na0.5Bi0.5TiO3の原子配列モデリング2018

    • Author(s)
      北村 尚斗,林 直弥,石田 直哉,井手本 康
    • Organizer
      第31回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム
  • [Presentation] Defect Structure Modeling of Crystalline Oxide-Ion Conductors by the Pair Distribution Function Analysis2017

    • Author(s)
      Naoto Kitamura
    • Organizer
      IUMRS-ICA2017 (18th International Union of Materials Research Societies, International Conference in Asia)
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] ペロブスカイト型構造を有するNa0.5Bi0.5TiO3の原子配列・電子構造とA サイト欠損の影響2017

    • Author(s)
      北村 尚斗,林 直弥,石田 直哉,井手本 康
    • Organizer
      日本セラミックス協会 第30回秋季シンポジウム
  • [Remarks] 東京理科大学理工学部先端化学科 井手本・北村研究室ホームページ

    • URL

      http://www.rs.noda.tus.ac.jp/idemotol/member/kitamura/index.html

URL: 

Published: 2018-12-17  

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