2017 Fiscal Year Research-status Report
有機構造規定剤及びゲルマニウムフリー合成法による超大細孔ゼオライトの開発
Project/Area Number |
17K14817
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
上村 佳大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (90635781)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゼオライト / 合成 / 種結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
超大細孔ゼオライトの一つであるUTL型ゼオライトを有機構造規定剤とゲルマニウムを用いない条件下で合成することを目標とする。本研究を達成するため、種結晶添加法を利用する。平成29年度は、種結晶添加法によるゼオライトの基盤合成技術を確立するため、まずは既存のモデルゼオライトを選択し、このゼオライト骨格において、アルミノシリケート反応混合物、水熱処理温度、水熱処理時間、種結晶のSi/Al比を変化させて、合成を実施した。種結晶や生成物はX線回折、電子顕微鏡観察、窒素級脱着測定などを用いて評価を実施し、多角的に解析することで、これらの条件が最終生成物の結晶性や不純物の成長度合いなどに及ぼす影響について検討した。本研究の研究計画で記載したように、来年度は、種結晶ゼオライトと様々な組成で調製したアルミノシリケート反応混合物から結晶化するゼオライトの構造類似性に着目した作業仮説に基づいて、合成を実施する予定である。並行して、UTL型ゼオライトに関する論文調査を実施し、そこから既往の合成手法や条件の探索を行い、来年度UTL型ゼオライト合成のための知見の拡充を行った。次年度は、これまでに得られた種結晶添加法の合成結果を基盤に、UTL型ゼオライトの有機構造規定剤及びゲルマニウムフリー合成を検討する。種結晶として既往の合成技術を基にUTL型の結晶化に成功した後、UTL型ゼオライトを再現性良く結晶化させるための合成条件(反応温度や時間等)の最適化を行う。得られたUTL型ゼオライトに対してはキャラクタリゼーションを行い、他のゼオライトのキャラクタリゼーションの結果と比較して、それぞれの特徴をまとめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、種結晶添加法によるゼオライトの基盤合成技術を確立するため、既存のモデルゼオライトの合成および反応混合物組成条件が生成物に与える影響についてまとめる実験作業に大幅な研究時間を費やした。現状ではUTL型ゼオライトの種結晶添加法は実施できていないため(次年度に実施予定)、研究進捗状況に関しては、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度得られた種結晶添加法の合成結果を基盤に、UTL型ゼオライトの有機構造規定剤及びゲルマニウムフリー合成を検討する。種結晶として既往の合成技術を基にUTL型の結晶化に成功した後、UTL型ゼオライトを再現性良く結晶化させるための合成条件(反応温度や時間等)の最適化を行う。得られたUTL型ゼオライトに対してはキャラクタリゼーションを行い、他のゼオライトのキャラクタリゼーションの結果と比較して、それぞれの特徴をまとめる。並行して、水熱処理結晶化過程における種結晶の役割を捉えるための手法の探索も実施し、種結晶の効果と合成条件が最終生成物に与える影響について検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は国際学会等報告できる成果が得られず、予定していた全ての国内・国際会議への参加ができなかった。また、合成実験に関しては、基本すでに研究室に備えられている実験機器で実施したため、消耗品関係についての支出がなかった。今年度に繰り越した研究費は次年度のUTL型ゼオライト合成のための消耗品や実験設備などの拡充に充てる。また次年度は本研究を遂行するために必要な知見を確保したいと考え、今年度繰り越した研究費を研究動向調査のための様々な国内・国際学会参加費に充てる予定である。
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