2017 Fiscal Year Research-status Report
溶湯直接圧延を利用したポーラスアルミニウムコアサンドイッチパネルの開発
Project/Area Number |
17K14819
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 良祐 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (10612400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポーラスアルミニウム / 溶湯直接圧延 / プリカーサ / 鋳造 / アルミニウム合金 / 気孔率 / 発泡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではポーラスアルミニウムサンドイッチを安価に製造する方法として溶湯直接圧延法を提案しその有効性を実験的に調べる. (1)Al-Si低融点アルミニウム合金を坩堝に入れ,坩堝ごと電気坩堝炉に挿入し大気雰囲気中で873Kに加熱して溶融させた.溶湯に増粘剤として純アルミニウム粉末およびAl2O3粉末を添加して500rpmで20min撹拌させたのち,発泡剤としてTiH2,CaCO3またはLi2CO3を添加・1200rpmで60 s撹拌後,銅製金型に注湯して円柱状のプリカーサを得た.冷却したプリカーサから試験片を切り出し,978Kに加熱して7min保持することで発泡体を得た.発泡体の密度をアルキメデス法で測定し気孔率を算出した.TiH2,CaCO3およびLi2CO3を発泡剤として添加した発泡体の最大気孔率はそれぞれ,80%,58%および73%であった.平成29年度の研究では市販の気孔率と同等の気孔率(80%以上)の発泡体が得られた発泡剤はTiH2のみであった.TiH2はCaCO3およびLi2CO3と比較して高価なので,安価なCaCO3やLi2CO3を発泡剤として気孔率80%以上の発泡体を作製可能か今後も実験的な検討を続ける.各発泡剤を用いた発泡体の圧縮試験を行った.どの発泡剤を用いた発泡体でもポーラスアルミニウムの特徴であるプラトー領域を有する圧縮挙動が観察された. (2)(1)の検討において最大気孔率80%の発泡体が得られた条件でプリカーサを作製し,縦型双ロール圧延機に注湯することで,厚さ1mmの板状プリカーサを得た.プリカーサを30x30x1mm3の板状試験片を切り出し978Kで7min保持する発泡試験を行った結果,気孔率60%の発泡体を得ることに成功した.溶湯直接圧延法を用いて作製したプリカーサからポーラスアルミニウムを作製可能であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予期していなかったこと:借用予定の横型双ロール圧延機が撤去され,縦型双ロール圧延機が導入された.これに伴い圧延機が使用不可能な時期があった.増粘剤や発泡剤を溶湯に均一に分散させるために,10000rpmで撹拌可能なホモジナイザーを使用予定であったが,実験の安全の観点から使用することができなくなった. 借用予定の圧延機が使えないことになったので,平成29年度はADC12アルミニウム合金溶湯に発泡剤を分散させる方法や最適な発泡剤についての検討を行った.高速回転可能なホモジナイザーを使わなくても,一般的な撹拌装置を用い鋳造により作製したプリカーサから市販のポーラスアルミニウムと同等の80%の気孔率を有する発泡体が得られた.縦型双ロール圧延機を用いて最適条件の溶湯を圧延することで発泡可能なプリカーサを得られることが分かった. 平成30年度に圧延条件の最適化まで行えば,溶湯直接圧延法を用いてポーラスアルミニウムコアサンドイッチパネルの作製および強度評価は達成可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)純アルミニウム粉末およびAl2O3粉末をADC12アルミニウム合金溶湯に添加することで,溶湯の増粘が可能であることは平成29年度の研究で分かったが,どの程度粘度が増加するのか定量的な評価ができていなかった.平成30年度の研究では純アルミニウム粉末およびAl2O3粉末を添加した溶湯がどの程度増粘されるのか定量的に調べる. (2)圧延条件の最適化を行うことで80%以上の気孔率を有する発泡体を溶湯直接圧延法を用いて作製可能か調べる. (3)溶湯直接圧延法を用いて作製したプリカーサにスキン材をクラッド圧延して接合したスキン材付きプリカーサを発泡させることでポーラスアルミニウムコアサンドイッチを作製する. (4)溶湯直接圧延法を用いて作製したポーラスアルミニウムおよびポーラスアルミニウムコアサンドイッチの強度を評価する.
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