2017 Fiscal Year Research-status Report
一次元ナノ構造体-金属複合材料の機械強度の原子論からの予測的評価
Project/Area Number |
17K14826
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Research Institution | College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
森 英喜 産業技術短期大学, その他部局等, 講師 (00456998)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 加工硬化 / 転位ループ形成 / 交差すべり |
Outline of Annual Research Achievements |
新規高機能アルミニウム(Al)-カーボンナノチューブ(CNT)複合材料開発の指針を得るための分子動力学数値実験の実施を計画している.昨年度前半(4月~9月)は,プログラムのチューニングおよび解析モデルの検討を中心に行った. 年明けより解析計算を本格的に開始した.研究課題であるカーボンナノチューブ(CNT)の一次元構造体の特性を確認するために,一本のCNTをアルミ母材中に配置し,刃状転位とらせん転位のそれぞれを応力負荷により進展させ,転位をCNTを複数回にわたり通過させることによって,転位とCNTの直接的な多段相互作用の解析を行った. この結果,刃状転位およびらせん転位それぞれにおいて通常の0次元介在物とは異なる相互作用を確認した.刃状転位において一回目にCNTを通過する際には,転位はCNTの回りを囲むように変形し残留小転位ループを残すことによってCNTを通過した.さらに二回目以降にCNTを通過する際には,一回目より大きな応力が必要であることが確認できた.これにはより詳細な解析が必要であると考える. らせん転位の場合では,安定的にらせん転位はCNTを通過していった.また,らせん転位の場合,転位の位置が変化する交差すべりが確認された.これに対してCNTは一次元構造であるために位置が変化した際にも転位の障害物として効果的に作用いていることが確認出来た.この現象に関してもより詳細な解析が必要であると考える.これらの結果は新規高機能Al-CNT複合材料の開発の基礎的データとして非常に重要であると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規高機能アルミニウム(Al)-カーボンナノチューブ(CNT)複合材料開発のための分子動力学(MD)計数値実験において,初年度の計画目標であるAl-CNTの多段相互作用の解析はおおむね順調に結果を得ている.また.その結果も有意義なものである言える.初年度計画目標後半におけるCNTの一次元形状が転位の障害物としてどのような影響を与えるのかの評価のためのフラーレン(C240)との比較MD数値実験も計算環境整備に多少時間がかかったため開始が年明けからになったが現在順調に進行中であり,速やかな学会発表等も可能な状況となりつつある.このため初年度に関しては,ほぼ計画通りに進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
新規高機能アルミニウム(Al)-カーボンナノチューブ(CNT)複合材料開発のための分子動力学(MD)計数値実験において初年度の目標は順調にほぼ到達している.このため,今年度に関しても基本的には当初の研究計画に沿って行っていく予定である. まず,二層CNTおよび複雑な配置によるCNTの転位の障害物としての影響の評価を行う.さらに,CNTが不均一に分布いている場合の影響の評価を行う.また,得られた研究結果を国内および国際会議において積極的に発表し学術論文としても投稿予定である.
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Research Products
(3 results)