2017 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of non-precious magnets using a catalyst preparation method
Project/Area Number |
17K14829
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 隆幸 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (10732183)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 磁石 / リーチング / 脱合金化 / 希少元素代替 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リーチングという触媒調製技術を希少元素フリー永久磁石の創製に応用するものである。今年度は主にAl-Fe-Ni合金をアルカリ溶液に浸漬してAlを選択的に溶出し、結晶の乱れが大きく表面積が大きいFeNiポーラス体を作製し、それを熱処理することにより結晶化の駆動力および高速な表面拡散を利用し、L10型FeNi規則合金磁石の創製を目指した。 今年度はまずリーチング条件の最適化に努めた。これまでの予備実験において、条件による違いはある程度調べていたが、さらに詳しく調べた。予備実験も含めて、前駆体合金種類、前駆体粉末粒径、アルカリ溶液の種類および濃度、リーチング時間および温度、Arバブリングによる溶存酸素除去の有無、撹拌の有無などについて調べ、適した条件を見出した。 リーチングFeNiを水素ガスフロー下で還元熱処理し、振動試料型磁力計(VSM)により磁化曲線を測定した。高表面積で活性な金属のため、還元熱処理後に大気に取り出すと発火・燃焼する。低濃度酸素で表面を徐酸化することで大気に取り出すことができるが、磁化が小さくなる問題があった。そこで、小型の熱処理系を構築し、還元熱処理後に大気に暴露することなくグローブボックスに試料を導入し、VSMサンプル容器にエポキシ樹脂を用いて固定充填した。エポキシ樹脂が十分に硬化した後、大気に取出し磁化曲線を測定した。その結果、最大で134 emu/gの飽和磁化が得られた。バルクの飽和磁化(153 emu/g)より小さいのは残留Al(6 at%)の影響と思われるが、徐酸化試料の値(80 emu/g)よりも大幅に向上した。また保磁力もエポキシ充填試料(180 Oe)の方が徐酸化試料(160 Oe)よりも若干高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、リーチングにより作製したポーラスFe試料の窒化熱処理によるFe16Ni2磁石の創製も目指す予定だったが、取引業者の度重なるミスにより窒化熱処理実験を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
L10-FeNiについては、リーチングFeNi試料の水素還元熱処理条件の最適化により、磁気特性の向上を図る。また、リーチング条件もさらに最適化して、Al残留量を減らし、飽和磁化の向上を図る。 Fe16N2については、窒化熱処理環境が整い次第、実験を行う。また、リーチングによるポーラスFe試料作製条件は既にある程度調べているが、高表面積などの特性を保ったまま残留Alをさらに減らせるように条件を最適化する。当然、窒化熱処理条件も最適化し、磁気特性の良いFe16N2の作製を目指す。 上記について条件が最適化されたら、磁場中リーチングおよび磁場中熱処理を行い、それらの効果を検証するとともに、磁場の利用による磁気特性の向上を図る。
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