2017 Fiscal Year Research-status Report
高速作動-高容量Mg水素貯蔵材料を目指した内包MgH2生成機構の解明
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17K14837
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
近藤 亮太 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (60709088)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 内包MgH2 / 結晶粒径 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mgは資源的な偏在が無く、豊富に存在し、比較的安価に水素化物(MgH2)を形成するため、魅力的な水素貯蔵材料である。理論容量は7.8mass%、作動温度は300℃と容量-作動温度バランスが優れた材料である。申請課題では、コアーシェルタイプの水素化物を形成するMgに対し、シェル部に形成されるMgH2の他に、内包MgH2の生成が観察されたことから、この内包MgH2の生成機構を明らかにするk十を目的としている。初年度は内包MgH2生成に及ぼすMg結晶粒界の影響を明らかにすることを目的に研究を進め、Mgの結晶粒径の制御および表層のMgH2(sur)および内包MgH2(int)生成の解析を行った。結晶粒径は50μm~100μmまで制御した。これらのMg試料を用いて水素化処理を行ったところ、次の知見が得られた。母材のMg結晶粒径の低下と共にMgH2(sur)の厚さは低下することがわかった。また、MgH2(int)の単位面積当たりの生成数は増加することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で、初年度にMgの結晶粒径を制御し、結晶粒径と生成したMgH2(int)およびMgH2(sur)との関係から、内包MgH2生成に及ぼすMg結晶粒界の影響を明らかにすることを目的としていた。当初の予定通り、Mgの結晶粒径の制御およびMgH2(int)およびMgH2(sur)の生成、成長過程からMgH2(int)の生成過程を明らかにすることができたため、概ね順調に進んでいるものと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、次年度に予定していた、反応ギブズエネルギーが及ぼす内包MgH2の生成頻度および成長への影響を明らかにする。Mg+H2=MgH2の反応ギブズエネルギーは温度を653Kに一定とし、装置の許容耐圧環境を考慮して、-4kJ mol-1から-8 kJ mol-1を測定の対象とする。これらの反応ギブズエネルギーをあたえ、その際のMgH2(sur)およびMgH2(int)の組織解析により、内包MgH2の生成頻度および成長への影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、顕微鏡の購入を検討していたが、レンズの更新に伴い必要が無くなったため、残額が生じた。その一方、試料の粉砕にもちいていた乳鉢が割れたため、粉砕用の器具を新たに購入する必要が生じた。また、圧力計も不具合が生じており、その更新も予定している。これらは発注から購入までにそれぞれ5週間と3ヶ月を要するため、早めに対応することで年度初めから研究がスタートできるようにした。
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