2018 Fiscal Year Research-status Report
Essential understanding of solute segregation at grain boundary in iron alloys by considering boundary coherency
Project/Area Number |
17K14840
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
張 咏ジエ 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40793740)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 粒界偏析 / 粒界整合性 / 合金元素 / 偏析エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄合金の粒界における溶質元素の偏析挙動は、粒界整合性、温度、溶質原子間の相互作用など様々の因子に影響される。本研究では、粒界の整合性を考慮したうえで、従来使われてきたオージエ電子分光法の代わりに、粒界面の脆性破壊を必要としない三次元アトムプローブ(3DAP)を用いることで、粒界偏析量や、偏析エネルギーなどを定量評価することを目的とした。 今年度には、高周波溶解で作製したFe-0.01P(mass%)合金を研究対象として用い、フェライト粒界におけるP偏析挙動を調査した。均質化処理を行った試料を真空加熱炉でフェライト単相域である600℃, 24h焼鈍処理後、水冷することで組織を凍結した。得られたフェライト組織を電子線後方散乱法(EBSD)測定および集束イオンビーム(FIB)加工による断面観察を行うことで粒界の方位差および面方位を評価した。それらの実験結果に基づき、界面整合性を評価する幾何学的理論NCSモデル計算を行った結果、小角粒界の対応格子密度よりも大角粒界のほうが少なく、整合性が悪いことが確認された。特定な粒界を選択して3DAPで粒界偏析を測定した結果、従来の知見と同様に大角粒界におけるPの偏析量と比べて小角粒界で偏析量が少なく、粒界偏析におよぼす粒界整合性の影響はかなり大きいことがわかった。 一方、Pの粒界偏析におよぼす元素添加の影響についても検討を行った。Fe-0.01P合金をベースに10ppmCおよび1ppmBを微量添加した合金を同様な解析手法でPのフェライト粒界偏析量を定量評価した結果、CとBの微量添加でPの偏析が抑制される傾向が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画したFe-Mo二元合金におけるオーステナイト粒界偏析の検討を試みたが、二元合金のマッシブ変態が非常に速く、超急冷でもマルテンサイトを得ることは極めて困難であるため、現時点ではフェライト粒界偏析を中心として研究を行う予定である。今年度には、3DAPの測定条件を決定した上で、Pの粒界偏析量評価は可能であることがわかった。また、複数のフェライト粒界におけるP偏析を調査した結果、粒界整合性につれて偏析量が変化する傾向が明らかとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
フェライト粒界におけるPの偏析エネルギーをより正確に評価するため、今後は異なる焼鈍温度における粒界偏析を定量評価する。また、Fe-0.01Pに50ppmのCを添加した合金についても同様な調査を行い、C添加の影響をさらに系統的に調べることで、P偏析におよぼす合金元素添加影響のメカニズムについて詳しく検討する予定である。
|