2018 Fiscal Year Research-status Report
バインダーレスWCと窒化ケイ素を複合した新規工具材料創製と焼結メカニズム解明
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17K14841
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
仁野 章弘 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (80451649)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炭化タングステン / 窒化ケイ素 / 通電加圧焼結 / 硬さ / 破壊靭性値 / ヤング率 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は液相焼結法による緻密化を行ったが、今年度は液相に頼ることなく固相焼結法による緻密化を行う。焼結助剤と呼ばれる酸化物であるAl2O3やY2O3などを添加することなく、通電加圧焼結法により合成を行った。収縮挙動をモニタリングし、解析を行ったところ、Si3N4添加により1500℃程度で収縮のピークが現れた。WCセラミックスは、焼結温度1650℃で、30 mol%以下のSi3N4を加えることで緻密に焼結した。構成相はX線回折法により調べたところ、αおよびβ-Si3N4とWCに加え、反応生成物が検出された。この反応生成物はWC-SiC系セラミックスにおいても確認されたものである。 微細組織観察では、Si3N4無添加では多数の気孔が確認されたが、Si3N4添加により気孔はほとんど無くなり、緻密化していることが確認された。Si3N4を添加しても極端な異常粒成長は見られなかったが、1 mol%添加でのみわずかに大きな結晶粒も散見された。 ヤング率は、Si3N4量の増加とともに減少した。この変化は等ひずみ、等応力モデルに従っていた。硬さは、Si3N4添加により低下はしたが、大きな低下ではなく、WCに近い高い硬さを維持した。破壊靭性値は、少量のSi3N4添加ではほとんど変わらないが、添加量が多くなると若干増加した。 電気的性質については、Si3N4は絶縁性の材料であるが、Si3N4量が増加しても、電気抵抗率に大きな変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
焼結助剤を用いることなく、WC-Si3N4セラミックスの合成に成功し、収縮挙動の評価を終えた。各種組成の焼結体を作製するとともに、密度測定、構成相の同定、微細組織観察を行った。機械的性質に関係する部分として、ヤング率、硬さ、破壊靭性値に関して、Si3N4量との関係性を調べた。当初計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度で実験計画に記載した事項については終了している。今後は、研究成果を学会等で発表する必要がある。
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Causes of Carryover |
日本金属学会秋期大会および粉体粉末冶金協会等の講演大会に参加し、研究成果を発表するため。 残額は、今年度学会発表の旅費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)