2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of evaluation method for permeability in blast furnace by phase transformation particle simulation
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17K14846
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石原 真吾 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40760301)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子法 / 高炉 / 軟化 / 溶融 / ADEM / SPH / 融着帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
高炉プロセスにおいて、安定で高効率な操業のためには、高炉内ガス流れの制御が特に重要であり、ガス流れは炉内で積層された粒子挙動に大きく依存している。本研究では、高炉における相変化を伴う粒子挙動を解析するためのシミュレーションモデルの構築を目的とした。炉頂から装入された粒子が積層により粉化し、加熱により軟化融着し、最終的に溶融する極めて複雑な粒子挙動を解析する手法を創成し、炉内ガス流れ解析と組み合わせることで、高精度な高炉内通気性予測手法の開発を目指した。 固体状態における粉化、軟化を含めた非球形粒子挙動についてはADEM(Advanced Distinct Element Method)を用いることとし、溶融後の融液に関してはSPH(Smoothed Particle Hydrodynamics)を用いた。これら二つの手法のカップリングモデルにより、鉱石の加熱時における軟化溶融挙動の再現を試みた。まずは簡単のため、還元反応が起こらない条件としてAr雰囲気下における予備還元鉱石の昇温試験を行い、鉱石一粒子の溶融挙動を直接観察した。鉱石表面から昇温されて軟化が始まり、融液が徐々に生成して最終的に全ての鉱石が融液となるまでの挙動を得た。得られた鉱石の軟化溶融挙動をシミュレーションで再現するため、昇温に伴う固体の軟化現象をADEMにおける連結バネ定数の減少で表現した。固体状態で潜熱に相当する熱量を粒子が受けとった段階で流体へと相変化させることで、実験における軟化溶融挙動を再現することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ADEMにおける連結バネ定数変化によって鉱石粒子の軟化挙動を再現することに成功している。また、SPHとカップリングすることで流体の表現が可能となり、固体から融液が生成するまでの挙動をシームレスに取り扱うことが可能になった。定性的な固液相変化時の挙動の再現には成功したが、今後は軟化溶融時の実際の物性値を反映させた解析を進める必要がある。特に、融液生成初期における固液共存状態における粘度の取り扱い方について、実験で得られている情報を反映させた解析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、構築したシミュレーションモデルを用いて、複数粒子を充填した充填層における軟化溶融挙動解析を実施する予定である。粒子充填層における軟化溶融により、充填層の空隙率の変化がどのように生じるのかを解析する。軟化溶融シミュレーションにより得られた粒子の座標情報をもとにガス流れ解析を実施することで、相変化を伴う粒子挙動が充填層通気性にどのような影響を及ぼすのかを明らかにしていく予定である。 計算の対象とする粒子数が増加することで計算負荷の増大が課題になることが予想される。新規計算機の導入や、並列計算の実行性能の向上に関する開発を並行して実施することで、大規模計算が可能な環境の構築に努める。
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Causes of Carryover |
既存設備を効率的に使用できたことから新規設備の導入が無く研究を実施することができ、次年度へ繰り越した。本年度実施予定の軟化溶融試験において実験に関わる治具や実験試料を購入する計画であり、その費用に充てる予定である。
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