2017 Fiscal Year Research-status Report
マルチスケール位相シフト光学システム開発とナノフルイドの動的濡れ計測への展開
Project/Area Number |
17K14848
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
庄司 衛太 東北大学, 工学研究科, 助教 (20780430)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | エリプソメータ / 位相シフト技術 / ナノフルイド / 濡れ性 / ナノ液膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
高濃度ナノフルイドは、金属や金属酸化物のナノ粒子が高濃度に分散した懸濁液であり、導電性インク等への応用が期待されている新たな機能性流体である。高濃度ナノフルイドの導電性インクへの応用には、その濡れ挙動、特に微視的な濡れが重要となる。そこで本研究では、微視的濡れの動的二次元膜厚計測が可能なマルチスケール位相シフト光学システムを開発し、高濃度ナノフルイドを基板に塗布した際の微視的濡れ挙動の解明を目的とする。 平成29年度は、マルチスケール位相シフト光学システムの開発に重点的に取り組み、ナノスケール液膜の計測を可能とする位相シフトエリプソメータを開発した。位相シフトエリプソメータの開発においては、3枚の位相シフト画像を使用する3ステップ位相シフトアルゴリズムを提案し、提案したアルゴリズムに基づいた光学システムと画像処理プログラムを開発した。また、測定試料の蒸発、凝縮などの実験環境のコントロールを目的とした密閉環境制御システムの開発を行った。 以上の光学システムを検証するために、シリコンウェハ上に100 nm以下の膜厚を有する酸化シリコン薄膜サンプルを複数作製し、開発した位相シフトエリプソメータによる二次元の膜厚計測を行い、その精度を検証した。さらに、信頼性の高い手法として分光エリプソメータを用いて膜厚を数点計測し、両者の計測結果を比較することで計測結果の妥当性を検証した。位相シフトエリプソメータの計測結果は高い精度を示し、また分光エリプソメータの結果と良く一致した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要に示したように、本研究で軸となる位相シフトエリプソメータの開発と妥当性検証を行い、基礎原理の証明ができたことが最も重要な点である。また、今後の微視的濡れ挙動の計測に向け、光学系と画像処理プログラムを含めたシステムとしての精度を評価し、十分な精度を有することがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
開発した光学システムの動的計測への展開を行う。既にマイクロコンピュータを用いた光学素子制御機構の開発に着手しており、今後は光学素子の制御機構を光学システムに組み込み、およびその調整・評価を行う予定である。また、純溶媒の動的な微視的濡れ挙動の可視化計測を進め、高濃度ナノフルイドの微視的濡れ挙動解明に向けた知見を蓄積していく。
|
Causes of Carryover |
光学システム開発において効率的に予算を使用し、基本的な光学系構成を構築できた。そのため、平成30年度以降に予定している実験の対象に合わせた光学製品購入や、実験実施における消耗品購入に当てることが、より効率的な研究遂行につながると判断したため。
|
Research Products
(2 results)