2017 Fiscal Year Research-status Report
Mesoscale simulation analysis of particle structure formation during drying
Project/Area Number |
17K14849
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辰巳 怜 東京大学, 環境安全研究センター, 特任助教 (00749202)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コロイド / 乾燥 / 粒子膜 / 偏析 / 計算機シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
微細構造を有する機能性材料の製造に,微粒子分散液の乾燥において自発的に粒子系構造が形成される現象が利用されている.材料性能は粒子系構造により決定付けられるため,構造制御のための原料物性・操作の条件設計が求められる.本研究では,我々がこれまでに開発してきた微粒子分散液の計算機シミュレーション技術を活用して,物性・操作条件と粒子系構造形成の相関を明らかにするとともに,材料製造における効率的な条件設計の指針を示すことを目的とする. 計算機シミュレーションには,粒子のブラウン運動に自由表面から受ける毛管力を考慮したメソスケールモデルを採用し,平成29年度は,以下の結果を得た. 1.乾燥に伴い自由表面が後退すると,その下方で粒子濃縮層が成長する.その成長速度が乾燥ペクレ数(自由表面後退速度の粒子拡散速度に対する比)とともに増大することを確認し,濃縮層成長に伴う透水係数減少と現実に観測される乾燥速度低下の関連付けを行った. 2.添加剤を含む微粒子分散液の乾燥では,表層への添加剤の偏析現象が起こることがある.大小二種粒子混合系を対象として,偏析現象の乾燥ペクレ数,粒径比依存性を明らかにした.また,添加剤を濃度場として扱う粗視化モデルでの解析により,乾燥に伴う自由表面下方での添加剤の濃縮が,粒子の下方への泳動を引き起こして添加剤の偏析に至るという描像を得た. 3.乾燥により形成される粒子系構造の空隙率・強度について,粒子間相互作用(凝集性・固着性)依存性を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところで,乾燥における粒子系構造に関して,具体的な物性・操作条件として粒子間相互作用・乾燥ペクレ数との相関が明らかになった.本研究は,材料製造における効率的な条件設計指針の提示を粒子系構造の観点から行うことを目的としているが,そのための基礎が整ったと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
材料製造における効率的な条件設計のために必要となる乾燥特性曲線(乾燥速度の時間変化)の計算機シミュレーションによる推算方法を考案する.そのために,粒子系構造と乾燥速度の連成を考慮するようにモデルを発展させる.その上で粒子間相互作用が粒子濃縮層構造,ひいては乾燥特性に及ぼす影響を明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
ワークステーション購入費用が当初予定よりも低く抑えられたためである.本年度予定している学会費用の一部として利用する.
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