2017 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of internal structure formation of solid-liquid-liquid dispersion having unique rheological properties
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17K14852
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石神 徹 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70595850)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レオロジー / キャピラリーサスペンション / 降伏応力 / 理論解析 / 直接数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,キャピラリーサスペンションと呼ばれる固液液三相分散系が有する特異なレオロジー特性の気候解明ならびにレオロジー特性予測技術の確立を目指し,実験・理論・シミュレーションの手法を用いて検討を行った。 降伏応力を予測可能な理論解析モデルの開発を行った。降伏応力は従来乾式粒子分散系の強度予測式に利用されていたRumpfの式に基づくものとし,粒子間相互作用として,液架橋力とvan der Waals力が作用すると仮定した。これらを解くために,既往の平均粒子間距離のモデルおよび飽和度と液架橋体積の関係式を用いて,解析的に計算を行った。その結果,本理論解析モデルにより求められた値は実験値と良好な一致を示すと共に,降伏応力の粒子径や体積分率依存性を説明できることがわかった。また,分散液のゲル化に必要な臨界体積分率も精度良く予測できることを示した。 次に,理論解析モデルの妥当性の検証ならびに粒子系構造の可視化を目指し,固液液三相分散系の直接数値シミュレーションモデルの構築を行った。粒子運動を離散要素法,自由界面運動をVolume of Fluid法により解き,粒子-流体間の連成に埋め込み境界法,粒子表面における接触角の表現に自由界面埋め込み法を用いた。開発したシミュレーション手法は,液液界面の接触角や液架橋力を精度良く計算できることが確認された。次に,多数の粒子群を含む固液液三相分散系の構造形成シミュレーションを行った。従来の研究では少数(2~3個)の粒子間の液架橋を数値的に検討されていたが,多数の粒子群の形成はそれらとは全く異なる構造を形成することがわかった。また,得られた粒子間距離の分布は非一様であり,粒子間距離は2相系と顕著に変化しないことから,本研究で提案した三相系へのRumpfの式の適用が妥当であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は,数値シミュレーションモデルの構築であったが,予定通り達成することができた。高精度な界面張力評価手法ならびに独自の接触角表現手法の導入により,新規かつ高精度なシミュレーション手法を開発することができた。加えて,当初次年度に行う予定であった検証実験については,先行して検討することができている。比較検証として用いる降伏応力や粘度は精度良く測定することができている。また,当初予定していなかった,実験値を予測可能な理論解析モデルも開発できている。以上のことを踏まえ,本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度構築した数値シミュレーションモデルの妥当性を確認するための検証実験を行う。具体的には粘度のせん断速度依存性を測定する。これと同じ条件でシミュレーションを行い,実験結果と比較検証を行う。シミュレーションの妥当性が得られた後,粒子径構造の形成過程やレオロジー特性との相関について明らかにする。最後にキャピラリーサスペンションのレオロジー特性の制御技術を体系的にまとめる。
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Causes of Carryover |
概ね予算額を使用したが,次年度にシミュレーションのポスト処理ソフトウェアを購入のために,残金を確保した。
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