2018 Fiscal Year Research-status Report
機能性タンパク質を含む細胞破砕片懸濁液の濾過現象の解明とその高速濾過法の開発
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17K14854
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
田中 孝徳 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (30581889)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 分離工学 / 固液分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タンパク質のような水溶性の生体高分子と菌体などのソフトナノコロイドの分離操作の最適設計を実現するため、濾過抵抗に寄与するタンパク質の影響を解明して、最適な分離手法、装置や操作の設計のための指針を得ることを目的とする。 本年度は,酵母懸濁液の定圧濾過操作においてタンパク質の添加効果の濃度依存性を調査した。濾過速度の指標である定圧濾過係数を用いて評価したところ,定圧濾過係数の圧力依存性が大きく変化することを見出だした。ソフトコロイドであるため,濾過圧力の増加に伴って流路が小さくなり,濾過性がむしろ低下することが一般的である。しかし、タンパク質の添加によりその傾向は解消され、十分添加時では圧力の増加に従い,濾過性の向上が見られた。これは,酵母表面へのタンパク質の吸着に伴い,粒子の特性が変化したと考えている。この系の高効率的濾過法の提案を行うため,ソフトコロイドに応じて,柔軟な濾過助剤を用いた試験を行ったところ,少量の添加で十分な濾過性向上の効果が認められた。一方で剛直な濾過助剤を用いた場合では,助剤粒子の間隙で難透水領域ができるため,濾過性向上の効果は高くはなかった。なお,計画していたタンパク質の濾過ケーク中での滞留量とその濾過抵抗を考慮した解析法の提案には現時点で至っていない。引き続き信頼性の高いデータを数多く取得し,実験結果から理論を構築することを予定している。 なお、本研究で得られた濾過分離に関する様々な成果については、継続した研究ののちに論文発表や国内のみならず国際学会での研究発表を行い、情報発信に努めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の検討により,タンパク質の分配が濾過抵抗に与える影響をより詳細に把握できたものの,その濾過理論の構築には着手できていない。一方で,実施予定であった濾過助剤法による高速濾過については,問題解決の手がかりを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置の製作を積極的に行い,基礎的な実験から新たな濾過理論の構築を目指す。また,前年度までに得られた知見の検証を十分に行い,研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
研究計画を変更して,実験装置の試作が必要な検討を該当年度に実施せずに,そのかわりに現有設備で対応可能な応用試験を先行して実施した。新年度は評価のための実験装置の試作を積極的に行い,研究の推進に努める。
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