2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Rapid One-pot Synthetic Method for Inorganic Nanosheet and Their Application
Project/Area Number |
17K14858
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
大谷 政孝 高知工科大学, 環境理工学群, 講師 (20585004)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ナノシート / 多孔質粒子 / 触媒 / 酸化反応 / 還元反応 / 人工光合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
無機ナノシートは、数 nm以下の厚さの2次元平面構造に由来した大きな反応表面積と優れた酸化還元能から、新たな無機材料として期待されている。しかし、その合成法はグラファイト様の層状無機化合物を多段階の操作で剥離する方法など限られており、単工程で簡便に合成することは難しい。また、従来型の反応では結晶粒子の核生成・成長速度に遷移金属ごとの差が生じやすく、任意の金属組成で均一な複合ナノシートを合成する汎用的手法が存在しない。本研究課題では、独自に開発した急速加熱ソルボサーマル反応の手法を、新たな無機ナノシート合成方法をとして確立することを目指した。すでに、先行実験において見出したコバルトナノシート合成の知見を基に、種々の遷移金属においてナノシート合成を試みた。反応に用いる金属塩・溶媒・溶液濃度・対イオン・加熱温度等の反応条件を精査したところ、極めて比表面積の大きなニッケルナノシート集合体を得ることに成功した。また、合成時の添加物の有無により前駆錯体の配位構造をわずかに変えるだけで、ナノシートの分岐構造の多寡を制御することにも成功しており、シート間にメソスケールの細孔を有するナノシート集合体が得られることを見出した。さらに、様々な金属元素の組み合わせから多孔質複合金属ナノシートのワンポット合成についても検討を進めており、コバルト-ニッケル系、ニッケル-マンガン系などの複合金属ナノシートの合成にも成功している。一連の成果は、急速加熱ソルボサーマル反応が無機ナノシート材料を簡便に得る合成手法として極めて有望であることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本計画の鍵となる基礎的な知見は、これまでの研究においてほぼ達成された。また、計画当初に懸念された問題点についても、反応条件を最適化することで解決の見通しがついており、種々の金属・異種材料との複合化についても想定以上に成果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画の通り、これまでに確立した無機ナノシート合成法により人工光合成触媒への応用を検討する。具体的には、種々の条件・金属から合成されたナノシート触媒を電極上へと担持し、その触媒活性を電気化学的手法により評価する。さらに、触媒活性の評価結果をナノシート触媒の複合金属組成・多孔質構造設計へとフィードバックし、高活性な人工光合成触媒材料の開発に挑戦する。
|
Causes of Carryover |
消耗品の購入費用として計上していた物品費の一部が現有機器・試薬の利用により不要であったため。また、当初計画していた国際学会への参加を中止したため旅費に未使用額が生じた。今後の使用計画としては、未使用額を含めて次年度の研究計画を迅速に遂行するために必要な物品・消耗品の購入費および学会発表の旅費として使用する。
|