2019 Fiscal Year Annual Research Report
Metabolic flux analysis for the liver of mice administered with glucose
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17K14864
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大野 聡 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60755734)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 代謝フラックス解析 / メタボローム分析 / プロテオーム分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
代謝工学技術の他分野への応用が加速し、代謝フラックス解析手法も生理学や医学への応用が期待されている。本研究では、非定常状態における生体内臓器を対象とした代謝フラックス解析法を新規に開発し、糖負荷に対して動的に応答するマウス肝臓の代謝フラックスを推定することを目指す。野生型および肥満モデルマウスの推定結果を比較し、肥満に伴う代謝異常をフラックスの観点から解明する。さらに、フラックス・代謝物量・酵素量を統合した代謝調節解析により、フラックスの調節要因についても定量的に評価する。以上より、非定常状態下の生体内臓器のフラックス推定と、それを利用した代謝調節解析の基盤技術を、世界に先駆けて確立する。 2020年度は、前年度に取得したマウス肝臓・血漿のメタボロームデータを用いて、代謝フラックス解析を実施した。その結果、飢餓時における肝臓の糖新生のフラックスは比較的大きいのに対して、糖負荷後の肝臓の解糖のフラックスは小さかった。従来、肝臓は血中糖濃度に応じて糖新生と解糖を切り替えていると考えられていたが、実際には解糖はほとんど行われていないことが本研究で明らかになった。さらに、野生型および肥満型マウスの肝臓の代謝調節解析を実施した結果、飢餓時における野生型と肥満型マウスの解糖系上流の代謝フラックスの違いは、ほとんどの反応が酵素量に依存する一方で、グリコーゲン代謝に含まれるPgm1が触媒する反応は基質・生成物代謝物量に依存することが明らかになった。 また、上記で開発した代謝フラックス解析手法と代謝調節解析手法を脂肪培養細胞への適用し、インスリン刺激により脂肪細胞ではGlut4の細胞膜への局在化により解糖系が活性化する一方で、TCA回路のフラックスはほとんど変化しないことを明らかにした。
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Research Products
(5 results)