2017 Fiscal Year Research-status Report
酸素に応答する代謝経路のスイッチング機構の解明と新規バイオプロセスへの応用
Project/Area Number |
17K14866
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柘植 陽太 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (00647422)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 応用微生物学 / 代謝工学 / コリネ型細菌 / バイオプロダクション |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はコリネ型細菌において酸素の有無を感知して中央代謝経路を切り換えるセンサーの探索と、酸素をスイッチとして中央代謝経路を切り換えることで、好気条件ではジアミンのカダベリンを、嫌気条件ではジカルボン酸のコハク酸を生産する新規生産システムの確立を試みた。 センサーの探索は現在進行中であるが、新規生産システムの確立についての進捗は以下のとおりである。親株としてC. glutamicum ATCC13032株を用い、初めにコハク酸生産の際の副生成物である乳酸と酢酸の生合成遺伝子を欠損させた。アスパルトキナーゼ遺伝子に一塩基変異を導入とともに、カダベリン生産のためのリジン脱炭酸酵素遺伝子を導入した。また、カダベリン、コハク酸双方の生産性向上のため、ピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子に一塩基置換を導入すると共に高発現してカダベリン・コハク酸高生産株を作製した。作製した株は好気条件下で218 mg/Lのカダベリンを、嫌気条件下で18.2 g/Lのコハク酸を生産し、それぞれの代謝改変は互いの生産性に影響を与えなかった。 次に好気条件では解糖系のスイッチをOFFにし、嫌気条件下ではONにすることで、酸素をスイッチとした中央代謝経路の切り換えを行うため、解糖系とPPPの分岐点であるグルコース-6-リン酸を基質とするグルコース-6-リン酸イソメラーゼ遺伝子のプロモーターを嫌気条件下で発現誘導するldhA遺伝子のプロモーターに置換した(PldhA-pgi)。その結果、カダベリン生産量は約4.7倍の1020 mg/Lまで向上した。一方、コハク酸生産量は約24%減少し、13.9 g/Lになった。そこでPldhA-pgiカセットをもう一コピーゲノム内に導入したところ、コハク酸生産量は回復した。一方、好気条件ではカダベリン生産量が737 mg/Lまで減少したが、親株よりは約3.4倍高い値を保った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は酸素の有無を感知するセンサーの探索に大きな進展は見られなかったが、もう一つの研究目的である、、酸素をスイッチとして中央代謝経路を切り換えることで、好気条件と嫌気条件で二つの化合物をそれぞれ主産物として生産するシステムの確立は順調に進んでいる。嫌気条件下で発現誘導される乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(ldhA)のプロモーターを利用することで酸素をスイッチとした中央代謝経路の切り換えに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は引き続きセンサーの探索を進めるとともに、代謝解析を行って酸素をスイッチとして代謝経路を切り換えることで細胞内代謝物の変動を調べる。同時により良いスイッチを求めて嫌気条件下で発現誘導される他のプロモーターも探索する。最後にジャーファーメンターで生産試験を行うことでカダベリン・コハク酸の二段階生産を行う。
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[Journal Article] Application of microalgae hydrolysate as a fermentation medium for microbial production of 2-pyrone 4,6-dicarboxylic acid2018
Author(s)
Htet AN, Noguchi M, Ninomiya K, Tsuge Y, KajitaS, Masai E, Katayama Y, Shikinaka K, Otsuka Y, Nakamura M, Kuroda K, Honda T, Takahashi K
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Journal Title
Journal of Bioengineering and Biotechnology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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