2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on Reduction of Reentry Blackout by Surface Catalysis Effect
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17K14871
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 裕介 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40611132)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 惑星大気再突入 / 空力加熱 / 通信ブラックアウト低減化 / 表面触媒効果 / プラズマ中の電磁波伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気再突入時に高温プラズマに包まれた宇宙機が、地上局やデータ中継衛星との通信途絶現象(通信ブラックアウト)に陥ることは大きな問題である。その一方で、再突入機近傍のプラズマ諸量分布や電磁波挙動の正確な予測が難しく、通信ブラックアウト低減に繋がる知見の探索が困難な状況である。したがって、この問題を回避・緩和するために通信ブラックアウト低減化技術は必要である。いま表面触媒性による宇宙機後流プラズマ密度の低下と、それによる通信ブラックアウト低減が期待されている。本研究においては、プラズマ風洞と数値解析技術を用いて、再突入時における通信ブラックアウト環境の再現を行い、表面効果による低減化メカニズムおよび低減化技術の指針を見出すことを目的とする。 これまでの研究で、表面触媒はブラックアウト低減化の効果があるものの表面加熱率を増加させることが数値解析的手法によって示された。加熱率増加は望ましくないためブラックアウト低減化との両立が重要となる。ここでは機体に貼り付けた触媒の幾何的形状によってブラックアウト低減化と加熱率増加の効果がどのように現れるか影響を与えるか調べた。 また、九州大学における研究者と連携して九州大学アーク加熱風洞を用いた通信試験を実施した。通信装置を内蔵した試験模型がプラズマ気流に暴露される間通信ブラックアウトが生じることが実証された。 JAXA宇宙科学研究所1MWアーク加熱風洞を対象に、発光分光測定法と数値解析手法を用いて気流温度や速度、化学種組成などの分布を明らかにした。これは国内最大規模の風洞であり、本研究課題遂行において有効な装置の1つであると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題を基課題にした研究課題 (国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)) 17KK0123が採択されたため、本課題で予定されていたDLRアーク加熱風洞(L2K)を用いた通信実験は、上記の国際共同研究の枠組みで実施することが適切と判断した。そのため、本課題での大型風洞を用いた通信ブラックアウト試験の代替として、JAXAアーク加熱風洞を用いた試験を実施することとした。JAXAアーク加熱風洞のプラズマ気流の素性はこれまで実験的・数値的な診断を行うことによって明らかになりつつある。この情報を用いることで質の高い通信実験を実施することが期待される。また、結果的にDLRとJAXAのアーク加熱風洞による実験を実施することによってより多面的に考察を行うことが可能になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として次の3つを主な遂行内容とする: (1)JAXA宇宙科学研究所1MW アーク加熱風洞を用いてプラズマ気流を生成し、通信装置を内蔵した試験模型を用いて通信ブラックアウト試験を実施する。通信試験模型はこれまで九州大学20kWアーク加熱風洞で用いたものを利用する。この試験を通して大型風洞での通信ブラックアウト低減化実証を行う。さらに表面触媒を変更した模型を数種類用意し、表面触媒性が低減化にどのように影響するか明らかにする。 (2)通信ブラックアウト予測ツールを用いて、JAXA 1MWアーク加熱気流に投入された試験モデル近傍の流れ場および電磁波伝播を調べる。ここで得られた数値解析結果と風洞試験で得られた結果を比較し、低減化に対してどのようなメカニズムが生じたか調べる。また材料の触媒能がどの程度であったか調べる。 (3)再突入カプセルを対象とし、機体に計画2で明らかにした触媒性をもつ材料を貼り付けたケースの解析モデル作成を実施、数値解析による通信ブラックアウト低減化を実施する。
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Research Products
(8 results)