2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on Multi-Objective Optimization Methodology Considering Trajectory Feasibility under Uncertainties
Project/Area Number |
17K14877
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤川 貴弘 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (40781795)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | システム最適化 / 再使用型宇宙輸送システム / スペースプレーン / 多目的最適化 / 飛行軌道設計 / 不確かさ / エアロスパイクエンジン / 航空宇宙システム |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度には,スペースプレーンの設計最適化のための数値モデルの実装と多目的最適化手法の開発を進め,それらを組み合わせることで機体設計と飛行軌道の統合的な多目的最適化を実施した. 機体の3次元形状定義,幾何学的解析,及び表面格子データ生成には,オープンソースソフトウェアであるOpenVSPを採用し,その制御スクリプトを作成した.空力解析には,非構造格子を扱える高速なパネルコードを開発し,風洞試験結果との比較で十分な精度を有していることを確認した.また,RANS CFD解析の自動実行スクリプトの作成や,パネル法との統合空力モデル構築手法の開発も進めている. 多目的最適化手法としては,進化計算と勾配法が2重ループ構造となったハイブリッド手法を実装した.本手法は,機体形状やエンジン設計という大域的な解探索が重要な対象には進化計算を適用しつつ,軌道設計には制約条件の取扱いに長けた勾配法を用いることで,全体として広範囲かつ高効率な探索・最適化を実現するものである.また,本研究課題の目的である不確かさを考慮したスペースプレーンの多目的最適設計を実施する上で,2017年度に開発した軌道成立確率の算出手法との親和性が高い. さらに,単段式有人サブオービタルスペースプレーンと部分再使用型2段式スペースプレーンに対して,機体形状,エンジン設計,及び飛行軌道の統合的な多目的最適設計を実施した.不確かさの影響下での軌道成立確率を目的関数に加える前の予備解析として,単段式サブオービタル機では再突入中の最大加速度最小化と全備質量最小化,2段式スペースプレーンでは衛星打ち上げ形態の全備質量最小化と高高度ミッション形態の到達高度最大化,を目的関数とした.その結果,多様性の高い設計解群が得られ,目的関数すなわち性能指標の間のトレードオフを考慮したシステム解析・設計が可能になった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では2018年度内に,スペースプレーンの設計最適化のための数値モデルの実装と多目的最適化手法の開発を実施する予定であったが,この2つの課題に関する作業はほぼ完了しており,進捗状況はおおむね順調であると言える.さらに,並列計算機システムの部分的な構築と,計算コードの並列化も実施した.空力解析モデルの構築のみ2019年度にも引き続き取り組むが,パネルコードの実装は既に完了しており,RANS CFD解析との統合による高精度化に向けた残りの作業も多くない. また,不確かさを考慮しない問題設定のもとで,スペースプレーンの概念設計最適化を予定通り実施し,数値解析モデル,多目的最適化手法,及び並列計算環境の有効性を検証できた.なお,設計対象は,課題申請時の研究実施計画において挙げていた完全再使用型2段式スペースプレーンではなく,スペースプレーン研究開発の最新の動向を反映し,単段式サブオービタルスペースプレーンと部分再使用型2段式スペースプレーンへと変更した.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗に大きな問題はないため,当初の計画に基づき以下の通り研究を遂行する. 1) 高精度化等の改良も含めて,スペースプレーンの設計最適化のための数値モデルの実装を完了する. 2) 不確かさを有する量の確率分布とそのパラメータの定量化を行う. 3) 不確かさの影響下における軌道成立確率を考慮しつつ機体設計と上昇・帰還軌道を統合的に最適化することを可能にする,スペースプレーンの多目的最適設計手法を構築する.
|
Causes of Carryover |
2018年度内に計算用ワークステーションを2台(計140万円程度)購入する予定であったが,研究代表者が2019年度より所属研究機関を移ることに伴い,当該ワークステーションの導入時期を2019年度に変更したため.2019年度には,ワークステーション購入費,学会発表旅費,論文投稿費等で,翌年度分として請求した助成金と合わせて全額使用する計画である.
|