2018 Fiscal Year Research-status Report
舶用液体水素タンク内部における熱流動現象の解明 -計測・数値解析-
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17K14883
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前川 一真 神戸大学, 海事科学研究科, 助教 (20760664)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水素 / 超伝導応用 / 液面センサー / 海上輸送 / スロッシング / 熱流動 / 低温計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、極低温液体である液体水素を海上輸送するための基盤技術の確立を目指して、海上輸送時における舶用液体水素タンク内部のスロッシングに伴う熱流動現象について解明する。本年度では、主に以下の研究成果を得た。
1.超伝導液面センサーの静的・動的液面検知特性:平成29年度に構築した超伝導液面センサーの液面検知特性実験システムを用いて、5本の超伝導液面センサーの大気圧下・加圧下における静的・動的液面検知特性を調べた。静的液面検知特性では、液面検知特性に対する圧力の影響について明らかにした。動的液面検知特性に関しては、液面検知誤差が最も小さくなる最適ヒーター入力値を明らかにした。 2.液体水素海上輸送実験:本研究では、神戸大学海事科学研究科附属練習船深江丸の後部甲板に液体水素実験システムを構築し、世界初となる外洋での液体水素海上輸送実験を行った。実験では、輸送時における液体水素タンク内部の液面・温度・圧力、タンクに加わる加速度を同時計測するとともに、船体動揺(ピッチ角・ロール角)、船速等の計測を行った。実験では、神戸大学深江キャンパスを出港後、1泊2日で外洋において、Z試験等によって船体を揺動させて、揺動時における液体水素タンク内部のスロッシングを計測した。 3.熱流体解析ソフトウェアSTAR-CCM+を用いた熱流体解析:平成30年度は、平成29年度に引き続き、STAR-CCM+を用いて、基本的な熱流体解析モデルの構築を行った。液体水素海上輸送実験が、深江丸の航海スケジュール上、平成30年度末に行ったため、実験データとの比較による詳細な数値解析は次年度に行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、超伝導液面センサーの静的・動的液面検知特性を明らかにすることに成功し、液体水素タンク内部のスロッシングを液面センサーによって検知することが可能であることを明らかにすることができた。また、当初の計画通り、深江丸による世界初の外洋での液体水素海上輸送実験に成功し、液体水素タンク内部のスロッシングを計測することができた。数値解析においては、実験データの再現には到達していないが、海上輸送実験を予定通り行うことが出来たため、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、まず平成30年度に行った液体水素海上輸送実験で得られたデータの解析を行う。その後、熱流体解析ソフトウェアSTAR-CCM+を用いて、海上輸送実験で使用した液体水素タンクをモデル化し、実験結果の再現を行う。また、実験結果を精度よく再現するために、メッシュ形状、解析条件等を変更し、解析モデルの最適化を行う。さらに、タンク形状、断熱条件等を変更し、タンク形状によるスロッシングに伴う熱流動現象への影響や断熱性能の差による影響についても調べる。
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Causes of Carryover |
液体水素400Lが当初予定していた額より低価格で購入することができたため、次年度使用額が生じることになった。 平成31年度分助成金に関しては、実験費用、研究成果発表のための旅費、論文投稿費、STAR-CCM+のメンテナンス費用等に使用し、平成30年度に生じた次年度使用額は、実験で使用する消耗品等の購入費として使用する。
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