2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Evaluation Method for Holding Power of Suction Anchor for Deepwater Mooring
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17K14884
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤 公博 九州大学, 工学研究院, 助教 (80790716)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 把駐力評価 / サクションアンカー / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
日本近海には多くの海洋資源や洋上風力エネルギの存在が確認されており,欧米に比べて比較的大深度となる海洋資源開発および洋上風力発電用浮体では,把駐特性に優れた係留が必要となる.この係留システムとして,現在一般的にドラッグアンカーと係留チェーンによるカテナリー係留システムが用いられているが,この方式では係留半径が水深の約3倍と広く,加えてアンカーの把駐力試験が必要不可欠といったデメリットが挙げられる.一方,サクションアンカーは,上端が閉塞,下端が開放された鋼製円筒杭の形状をしており,内外部の水圧差を利用して海底に打設するもので,基本的に把駐力試験が不要であると同時に,鉛直引抜きに対する耐力を考慮できるため,係留ライン長および係留範囲を短縮できる.したがって,比較的大深度となる日本周辺海域では,サクションアンカーとポリエステルロープを用いたトート係留システムが非常に有用となる. そこで本研究では,アンカーと土壌との相互作用を考慮しつつ,土壌の3次元的運動を評価できる効率的な解析手法を開発し,数値シミュレーションを援用することでサクションアンカーに関する把駐力評価手法の構築と新アンカー形状の開発を目指している. これを受け,個別要素法において,土粒子の圧密による間隙体積の変化に伴う間隙水の圧力上昇を考慮できる解析手法について検討するとともに,汎用有限要素解析ソフトを用いた把駐力シミュレーションを実施した.加えて,実験室レベルでの把駐力試験を実施し,解析手法の精度検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,サクションアンカーを用いたトート係留システムは,海外における海洋オイル&ガスの分野での適用実績は多くあるものの,日本周辺海域での適用実績はほとんどないのが実情であり,その把駐力評価も主として実験的に実施されている.また,海外では粘土質地盤への適用例が多いのに対し,日本近海では砂質または泥質地盤への適用が求められる.この砂質地盤中のサクションアンカーの挙動については,砂粒子間の間隙水が影響するものと考えられる. そこで,個別要素法を用いて間隙水圧の増減をシミュレートできる手法の基盤を築くことができたため.また,実験室レベルで砂の湿潤状態によって把駐力が変化することを確認するとともに,試験結果との比較において課題は残るものの,数値シミュレーションによる把駐力評価を実施できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した解析手法を用いて数値シミュレーション計算を行い,平成29年度に実施した把駐力試験結果,ならびに,他の研究者によって実施されている実海域での試験結果との比較を通じて解析精度の検証を行うとともに,数値シミュレーション手法の改良および高精度化を図る. また,必要に応じて,落下貫入試験,斜め上方引抜き試験,把駐力試験等を実施し,貫入量,引抜き抗力,最大把駐力,変位量・傾斜量等を計測する.
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