2017 Fiscal Year Research-status Report
氷盤群中の構造物に作用する氷荷重シミュレーションプログラムの開発
Project/Area Number |
17K14890
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
長谷川 賢太 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (20772130)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 極地工学 / 海氷 / 小氷盤群 / 氷荷重 |
Outline of Annual Research Achievements |
北極圏において豊富な石油・天然ガス資源の存在が明らかとなり、国内外で関心が高くなっている。しかしながら、北極海域では海氷や氷山による脅威から発見された油ガス田の開発はあまり進んでいない。掘削等に用いられる浮体式構造物はその位置を保持する必要があるため、氷海域での開発には、その周囲で砕氷船が海氷を細かく砕く作業を行うことが一般的に考えられている。しかし、それよって生成された小氷盤群中の構造物に作用する氷荷重の推定技術は十分に確立されていない。本研究では数値シミュレーションによる氷荷重推定手法開発を目的とし、多数の小氷盤による相互作用および氷盤破壊に関して注目している。 本年度は、多数の剛体運動を物理法則に即して効率的に計算できる物理ベースモデリング手法により氷盤破壊を考慮しないプログラムを作成した。構造物周りの流れはポテンシャル流れを適用している。過去に所属機関で実施した氷海水槽試験を再現したシミュレーションを実施し、計算に必要な時間刻みや反発係数等のバリデーションを行った。そして、4種類の氷況において構造物に作用する氷荷重シミュレーションを実施し、氷海水槽試験データと比較を行った。結果から、それぞれの氷況で発生する氷荷重は試験データと類似の傾向を示した。また、シミュレーションの初期条件や氷盤の破壊影響等により平均・最大荷重をそれぞれ過小および過大評価することが分かり、本手法に対する改善点やノウハウを得ることができた。併せて、氷盤の破壊モデルに関する文献調査および検討を実施した。 本研究成果の一部を国際シンポジウムにて発表し、来年度にも国際学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた物理ベースモデリング手法を用いた氷荷重シミュレーションと破壊モデルの検討を実施し、基盤となるプログラム開発の成果が得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に作成したプログラムを基に、エネルギー保存則ベースによる破壊影響と3次元個別要素モデルによる破壊影響を適用し、開発を進める。また、氷海水槽試験データや公表されている実機データと適宜検証を実施し、改良を行う。
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Causes of Carryover |
運動解析ソフトウェアおよび旅費が当初の想定よりも安価に調達できたため、文献調査費等に充てる予定である。
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